更新日:2023.07.19
佐久間亮介 これまでに滞在したキャンプ場は国内外で300箇所を超えるというキャンプ場通。2023年春より、群馬県の北軽井沢にて自身がプロデュースするキャンプ場「-be- 北軽井沢キャンプフィールド」をオープン
日頃から仕事にプライベートに様々なキャンプ場を訪れているHondaキャンプ制作メンバー。数多くのキャンプ場があるなか、メンバーそれぞれが気になっているキャンプ場へ実際に訪れて取材し、キャンプ場の紹介をします。
今回紹介するのは、群馬県北軽井沢の北軽井沢スウィートグラスです。雄大な浅間山に抱かれる美しい自然の中には、バリエーション豊かなオートキャンプサイト、そして個性的な宿泊施設の数々、森の散策路や家族で楽しめるイベントなど、いつ訪れても飽きることがない刺激を味わえます。
キャンプ場の経営者として佐久間亮介さんがもっとも気になるのは、人気キャンプ場ならではの「キャンプ場の作り込み方」です。
北軽井沢スウィートグラスの豊かな自然とキャンプサイトのバランス、ほかにはない宿泊施設のコンセプトやアイデアはどこから生まれるのかなど、訪れた様子と気になったことをレポートします。
同じ北軽井沢でキャンプ場をやっている身として、お手本にさせていただきたいキャンプ場です。ここは大人も子どももワクワクする、リアルなおとぎの国。ほかでは見られない個性とアイデアの魅力に迫ります!
群馬県・北軽井沢にある、2023年で30周年を迎える大型の高規格オートキャンプ場です。標高約1,150mの高原に位置し、夏場のキャンプは涼しく快適に過ごせる環境。浅間山麓の牧草地に開かれた、およそ3万坪もの広大な敷地には、キャンプサイトが100区画のほか、個性豊かな宿泊施設はコテージが24棟、キャビンが26棟完備しています。キャンプ場では全体で、Wi-Fiが繋がります。
場内のロケーションは実に多彩で、浅間山を望む開放的なサイトのほか雑木林のワイルドなサイト、整備された散策路、水遊びができる清らかな地蔵川の源流や手作りの遊具施設もあるなど、家族で1日中場内で楽しめるほどです。
森に流れる心地よいせせらぎの地蔵川
オートキャンプサイトのロケーションは、大きく「大空エリア」、「木立エリア」、「林間エリア」、「目的別エリア」、「陽だまりエリア」と、5つの魅力的なエリアに分かれます。
●大空エリア
フリーサイトのようなキャンプを楽しみたいのならサイトの周囲を遮るものが少ない「大空エリア」がおすすめです。雄大な浅間山をバックにオープンエアの開放感を味わいましょう。ただし開放的な半面、日差しを遮る木立がないため、特に暑い時期はタープ必携です。
●木立エリア
「木立エリア」は区画ごとに木が植えられていて、適度なプライバシーが保てます。キャンプ場の中央付近にあるので各施設にアクセスしやすい便利な立地でもあります。このエリアには屋根付きのトランポリンが併設する「ポリンポリンサイト」があります。
●林間エリア
ミズナラの木々が自生する「林間エリア」は、真夏でも木陰が心地よい空間です。直焚き火ができるサイトがあるなど、野趣あふれる環境でキャンプを楽しめます。
「林間せせらぎサイト」には直焚き火ができるトライポッド付きの野外炉を完備
ちなみに薪は自社生産。広葉樹、針葉樹それぞれがふんだんに用意されている
●目的別エリア / 陽だまりエリア
「目的別エリア」には、特徴的なキャンプサイトが集まっています。
ひとり専用のミニマムなソロサイト(クルマやバイクはサイト向かいの専用駐車場に停められます)、はじめてのキャンプにピッタリの広場のようなデビューサイト、そしてペット連れにうれしい柵付きの「フリードッグサイト」は、全面にウッドチップが敷き詰められ、最大3頭のワンちゃんとノーリードで過ごせます。
キャンプ場の南側に位置する「陽だまりエリア」は、日当たりがよく適度な木々が配されています。テントサイトの数が少なくゆとりのある雰囲気で、管理棟や各施設にも近くて便利なエリアです。
と、あらゆるキャンパーのニーズに応えるキャンプサイトがそろっています。
いずれも雰囲気や区画のサイズが異なるため、訪れるたびに違う楽しみ方が発見できるでしょう。
以前は総サイト数が130区画ありましたが、コロナ禍がきっかけで区画の広さを見直し、現在は100区画に縮小して、よりゆったりと過ごせるキャンプサイトをつくっています。
管理棟や各施設に近く、広々と安心して過ごせる「デビューサイト」はビギナーにおすすめです。林間エリアには常設タープと直焚き火ができる野外炉を備える「狼煙サイト」も最高に雰囲気がいいです。いずれも自然の地形を生かしつつ、利用者の経験や人数構成に応じたつくりが素晴らしい!
宿泊施設はトイレや冷蔵庫、家具、食器などが完備されている別荘のような「コテージ」と、ガスや水道設備がない、シンプルな「キャビン(ツリーハウス含む)」の2種類に分かれます。
●コテージ
コテージでの注目は、暖炉と石窯を完備している「石窯コテージ MUGI」と「暖炉グリルコテージ グルマン」の2つ。
可愛らしい外観の「石窯コテージ MUGI」(上の写真)は、吹き抜けのダイニングに最高級の石窯を完備していて、本格的なピザやパン作りができます。テラコッタ調のフロアには靴を履いたままでアクセスOK。
こちらは「暖炉グリルコテージ グルマン」。玄関を入ると大きな煉瓦作りの暖炉グリルと一枚板のカウンターがお出迎え。まるで高級レストランにいるかのような空間が広がり、室内での焚き火を楽しみながら美味しい焚き火料理を作れます。
MUGIとグルマンはそれぞれ、寝室やサニタリーはスギの香りに包まれた山小屋の雰囲気で心身ともにリラックス。2階にはハンモックのように寝転べる「部屋モック」があったりと、大人も子どももワクワクする、特別感たっぷりの滞在を楽しめます。
●キャビン
キャビンでのおすすめは「満天星屑キャビン」。北軽井沢は標高が高く、夜空の星を眺めるのに最高の環境です。その魅力をキャビンにいながら楽しめるよう作ったのがコチラ。ロフトには夜空が屋内から見える大きな天窓を備えています。
そして極めつきは、キャンプ場のシンボルともいえる「マッシュルーム・ツリーハウス」。樹上につくられた自然に溶け込む曲線美はまさしくキノコそのもので、らせん階段を上ってツリーハウスに入れば、絵本の世界に飛び込んだかのよう。
それぞれコンセプトが異なり、素晴らしい個性と快適性を併せ持っていますので、いろいろな宿泊施設を利用してみてはいかがでしょう。
北軽井沢の冬の気温は、マイナス15度前後まで冷え込むことがあります。一般的には屋外で活動するには適さない環境ですが、ここでは50棟ある宿泊施設のすべてに薪ストーブを完備。北軽井沢スウィートグラスでは「冬だからこそ薪ストーブを使って快適に楽しもう」と提案し、見事成功。閑散期とされる冬期でも多くのファンを獲得しています。
場内にある炊事場・トイレはよく清掃が行き届いていてとても清潔感があります。2010年、要望の多かった風呂「薪焚の湯」を新設しました。湯はりから掃除まで自分で行うセルフ方式を採用しており、家族での時間貸しOK(利用には事前予約が必要)。
ほかにもコインシャワーを完備していて、7分200円で利用可能です(11〜4月下旬は利用不可)。
林間エリアのすぐ近くには自由に遊べる広場、森の中を空中散歩できる吊り橋や滑り台付きのツリーハウスがあって、子どもが思いきり遊べます。
また、ペット連れのために小型中型犬向け、大型犬向けに分けたドッグランもあります。
軽食やドリンクを提供するカフェ「アサマヒュッテ」では、地元産の高原野菜を使ったナンカレードッグやピザを味わうことができます。また、リモートワーカー向けのテーブルとチェアが用意されるなど、キャンプサイトや宿泊施設以外も魅力的な施設が充実しています。
とにかく水回りが美しいです。清掃チームの皆さんが丁寧に清掃されている様子を伺い知れます。すれ違う度に挨拶してくれるのも、とても気持ちいい。さらに注目は、水場の高さが違うこと。子どもが洗い物をすることを想定して、あえて低くしているそう。その視点にアッパレ!
「北軽井沢は1日1日、季節や天気によって景色が変わります。遊びながらここの美しさをぜひ楽しんでもらいたいですね!」とマネージャーの藤坂さん
北軽井沢スウィートグラスが大事にしているのは、「自然にコミュニケーションが発生することを、意図して作る」こと。そして、「シーンを作る」こと。
たとえば、コテージ内にピザ窯を作ったのも親子や友達同士で生地をこねて窯で焼く。そんなシーンを思い描いたのだそう。さらにキャンプ場で予約を受け付けている食材は「食べるだけではなく、作るところから楽しんでほしい」から食材は調理せず、そのまま提供しています。
最近では夫婦でコテージを使われているのをよく見かけることに気づき、少人数向けのコテージをさっそく新設してみたりと、レスポンスがいい!
自分たちがこの場でこの自然の中でどんな楽しみ方をしてほしいのか?どんなシーンをキャンプ場で作るのか?と、常に「ニーズと、自分たちの思い」を融合して日々進化を遂げている様子が伺えます。
そんな徹底ぶりがあるからこそ、この豊かで厳しい自然に囲まれた北軽井沢の地において、全国的に名を馳せる人気キャンプ場たる所以なのでしょう。
北軽井沢の自然は本当に美しく、心の底からここでキャンプをすることがおすすめだと言えます。北軽井沢スウィートグラスは、自然と施設の共存するバランスが絶妙。どこか夢のような雰囲気で、施設も清潔感があってオシャレ。場内でどんな楽しみ方、コミュニケーションをとってもらいたいのかを起点に、発案をするスタッフ側の熱意や楽しむ気持ちが伝わります。ビギナーから玄人まであらゆる人が楽しめる、予約がなかなかとれないのも納得のキャンプ場でした!
※このコンテンツは、2023年7月の情報をもとに作成しております。
※お出かけ前に電話やホームページなどで最新の情報をご確認ください。