夏のキャンプは日暮れと共に心地よさがアップ。
日中の厳しい日差しから解放されるので、ディナーを中心にしてたっぷりと楽しみましょう。その人気コンテンツのひとつが「焚火」。星空のもとで揺らぐ炎を眺めるひとときはロマンチックですね。そこで、快適に楽しむためにちょっとしたコツやルールを覚えておきましょう。
更新日:2014.05.12
金属製の焚火ツールは大人気。安全だし、火の扱いが簡単です
キャンプの楽しみのひとつに、焚火は欠かせませんね。夕食を終えたら、満点の星空のもと、火を眺めながらのんびりとおしゃべり。だんだん火が弱くなる頃、まぶたも重くなってきて…。こればっかりは、家の庭ではなかなか雰囲気が出ません。
最近では直火禁止のキャンプ場が増えてきました。テントサイトでは禁止で、専用の焚火スペースを設けている施設も珍しくありません。
直火禁止は、地面に直接焚き木や炭を置いて火を着けるのはNGということ。その理由はさまざまですが、そのまま放置されて、火の粉が飛んだり、再び燃え上がったり…なんてことを防ぐ意味合いもあるようです。
他にも、黒く炭化した燃えカスや、石や岩の焼け焦げが、長くそのまま残ってしまうからです。炭素はとても安定した物質で、太古の遺跡から黒くススの付いた土器や、焼け焦げた寺院や城の木片が出土するのもそのためです。
自然の中で、そういった燃え跡は景観を損ねます。バックパッキングの先進国アメリカで、早くからキャンプ時の焚火のマナーが啓蒙されたのも、それが一因だったと言われています。美しい大自然のあちらこちらに黒いススや焦げが残っていては興ざめ。いや、美しい景観を次代に残す義務が私たちにはあります。一時、「ローインパクト」という言葉が流行りましたが、まさに自然に優しい焚火を楽しみたいですね。
とはいえ、直火が許可されている場所では、あのワイルドで温かみのある雰囲気も捨てがたいものです。その場合、最後は必ず消火したことを確認し、充分に冷えてから穴を掘って灰や燃えがらを埋め、土をかけて慣らしておきます。
さて、最近は、直火でなくても快適に安全に焚火を楽しめるツールがいろいろとリリースされています。
折り畳みで簡単にセットアップができ、空気の流れや燃焼効率も図られているため、誰でも簡単に焚火を楽しむことができます。上に鍋やダッチオーヴンを乗せることができるタイプもあるので、一石二鳥。もちろん、地面や岩が焼け焦げることもありません。
家族や友人と火を囲んでいると、いつもより話がはずみます
これを使う場合にも充分な注意が必要ですが、単に焚き木を積み上げた直火に比べると、大きく崩れてパッと火の粉が上がったり、風に煽られて急に火勢が強くなったりということが少ないので安心です。
就寝時やその場を長く離れる場合には、しっかりと消火しなければなりません。最後は、燃え残りや灰が完全に冷えたのを確認します。
さて、意気揚々焚火タイムを迎えたものの、なかなか着火しなかったり、炎が上がらなかったり…と苦戦した方も多いのでは? そうなんです。火を着けるのも、火を安定させ、長持ちさせるのも、ちょっとしたコツが必要です。とはいえ、そんなに難しいものじゃありません。
でも、テクニック以前の問題があることも。焚火の前にちょっとチェックしておきましょう。
たとえば、薪や炭が湿っていませんか? 買い置きしたり、長期間売れ残った炭や薪は湿気を吸っていることがありますし、お店の軒先に積まれていたりすると雨風が当たっていることもあるので注意が必要です。林に落ちている太い枝や切り倒された幹などは、思いのほか水分を含んでいます。いきなり着火するのは難しいと思った方がいいでしょう。
キャンプ場で売られている焚火用の薪はほとんどの場合、きちんとカットされ、乾かしてありますが、それでも苦戦している姿をよく見かけます。そのほとんどが、薪をそのまま積んで着火しようとしているケース。3~5cmの厚みや太さにカットされていることがほとんどですが、それでも、手順を踏まないとなかなか炎は上がりません。
最近では優れた着火剤が出回っているので、最初の火だねにはそれを準備するのが近道ですが、ガムテープや新聞紙でもOK。ガムテープは火持ちがよく、新聞紙なら1枚ずつにして、軽くひねっておきます。牛乳やジュースの紙パックも優等生。飲んだら乾かしておきましょう。
そんな着火剤や焚きつけが用意できたら、薪を少々加工します。ナイフや大型のカッターを使って、細く薄く削ぎましょう。割り箸程度の木片ができれば合格。面倒くさい気がしますが、これをなしに快適な焚火は楽しめません。焚火マスターたちは意外にマメなんです。
適当な小枝を捜しても構いません。理想的には爪楊枝ほどの細枝が集まるといいのですが、松ぼっくりや枯れた松葉などでもOK。油分が多いのでよく燃えてくれます。
新聞やガムテープの上に、こういったものをこんもりと乗せ、その上に焚き木を積んでいきます。できれば、小、中、大と太さの異なる焚き木を作って、その順で積んでいきたいところです。
ここで大切なのは風の通り道。火が着くと炎に沿って下から上に空気が抜けます。それが新鮮な酸素をたくさん運んで、火の勢いを強くし、焚き木に着火してくれるので、縦方向に風が抜けるように積んでいきましょう。
積み方は、とんがり帽子型、井桁型などいろいろなパターンがありますが、焚きつけで上がった炎が薪に沿って登るような形ならなんでもOK。着火材の上に焚き木を直接どっさり乗せてしまったり、ベタっと水平にひと固まりで積むのが最も悪いパターンです。
とはいえ、焚火ツールを使う場合は、そういった空気の流れも計算されているので、そんなに神経質にならなくても大丈夫。
とにかく、最初に細くて、薄い木片や枝を準備することです。一旦、メインの焚き木に火が着けば、多少湿った木を乗せても大丈夫。切り口からシューシュー湯気をあげながら燃えていきます。むしろ、一気に燃え尽きることがないので、ベテランの中には湿った木を使って、長時間、安定した焚火を演出する方もいます。
火が着いてしばらくすると、炎が安定してきます。ただ、そのまま放っておくと、火勢はどんどん弱まってしまうので、タイミングよく焚き木を追加しなければなりません。弱まってからでは間に合わないので、火の勢いがあるうちに脇に添えておきます。すると少しずつ熱せられて火が移り、中心部が弱まった頃に、火勢を保ってくれます。
また、焚火の前半では、あまりかき回さないほうがいいでしょう。燃えてもろくなった焚き木が崩れて、せっかくの風の通り道がつぶれてしまいます。
焚火は眺めて楽しむだけではありません。せっかくですから、うまく利用しておいしいひとときを演出しちゃいましょう!
いちばんポピュラーなのは焼きいもですね。この場合は焚火を崩して、炎が上がらない状態、つまり熾き火にしたほうがうまくいきます。
他には、焼きトマト。丸のままのトマトに溶けるチーズを乗せ、オリーブオイルを少したらし、アルミホイルで二重に包んで、焚火の端のほうに置き、時々向きを変えましょう。熱々でスプーンで崩しながら食べると絶品!
玉ねぎも皮のままアルミホイルで包んで火に入れておくと、トロトロでスイーツのように甘くなります。ジャガイモも同じ。頭の部分に十字の切れ目を入れ、バターとアンチョビを乗せておくとびっくりのおいしさに…。
トウモロコシは、軽く水でぬらして皮を付けたまま、やはり端のほうに放り込んでおきます。甘くて香りのいいヒゲのおいしさにびっくりしますよ。
楽しくておいしい“火のレジャー”、焚火のシーズンはこれから! 安全第一で楽しんじゃいましょう!
焚火グルメの定番は焼きいも!
熾き火になったら網を乗せて、こんなことも…
※このコンテンツは、2014年5月の情報をもとに作成しております。