雪が降り積もった森でのキャンプは、この季節だけの特別な景色が楽しめます。でも、ふかふかの雪の上でテントを張るにはどうすれば良いのでしょうか? 雪上でペグを固定する方法や防水シートの設置法、ファスナーの雪対策など、そのコツを詳しく解説します。
更新日:2018.01.17
いつもの整地されたキャンプサイトでは、ペグを地面にしっかりと打ち込むことができるためきちんと固定できますが、雪が降り積もったキャンプサイトでは、地面は歩くたびに足跡がついて凸凹になってしまいますし、ペグも抵抗なくスポッと抜けてしまいます。
そのためまずは、テントとリビング、歩くスペースをしっかり踏み固めることからはじめます。
雪が降り積もったキャンプサイト。この状態でおおよそ30cmの新雪が積もっています。
テントのサイズよりひと回り大きくなるよう踏み固めていきます。小刻みに歩き、なるべく平らになるようにしましょう。テントの出入り口が風下になるよう考えて、テントの場所・リビングの場所を想定しておきます。
ブーツのままでも踏み固められますが、くぼみがあった場合など、足が雪の中に深く沈みこんで凸凹になってしまうことがあります。サイトはなるべく平らに仕上げたいので、スノーシューがあると作業がはかどります。
乾いた雪では完全に平らにはできませんが、この程度までならしておきましょう。
地面が整ったら、いよいよテントの設営です。
ペグが効きにくい雪上ですが、自立式テントだからといって、張り綱を使わず雪の上に置くだけでは、せっかくのテントの機能性を発揮できません。雪を使ってしっかり張り綱を固定しましょう。なお、人気のワンポールテントは、ペグが効かないと設営しきれません。40~50cmの長いペグや幅広の雪・砂用ペグを備えておきましょう。慣れないうちは自立式テントでのキャンプがおすすめです。
雪の上に直接テントを建てると、冷たさがダイレクトに伝わるだけでなく、体温などによって溶けた雪がテント内を濡らしてしまいます。それを防ぐため、インナーテントの下には防水シートを敷きましょう。防水シートはインナーテントからはみ出さないようにし、インナーテントと防水シートの間に雪が入りこまないようにします。はみ出してしまう場合は防水シートを折りたたんで調整しましょう。これは夏のグランドシートと同じです。
金属製フレームを組み立てる際は、凍傷やケガの危険があるので、素手で触れないようグローブを着用しましょう。グローブは薄手のほうが作業しやすいです。
普段白い張り綱を使っている方は、赤や青など雪上でも目立つ色の張り綱に変えておくと、つまずき防止に役立ちます。なお、写真は素手ですが不意にフレームに触れることもあるので、グローブを着用したほうがより安全に作業が進みます。
ペグが土の地面に届かないときは、ペグを雪中に埋めることになります。自在金具はテント側に装着し、上部で張り綱を調整できるようにしておきましょう。積雪がさほどではなくても、雪が降り積もってペグが埋まってしまうこともあります。テント側に装着しておけば、そんな時も「自在の位置がわからない」と慌てることがありません。
キャンプ期間中に降雪がなく、ペグが土に届くようなら、いつもと同じようにペグ側に自在金具を装着しても大丈夫です。
土までペグが届かず、ペグが効かない場合は、張り綱でペグを十字に固定して深く雪に埋めます。ペグが足りなければ、薪を使うなど工夫しましょう。
雪で埋めた後、上から水をかければ強固に固定することもできます。ただし、撤収時の取り出しが大変になるため、どうしても固定できない場合の手段として覚えておきましょう。
スカート部分はそのままでもいいのですが、隙間風が不快なら雪を乗せてスカートが浮き上がらないようにします。ただし、隙間風は防げますが機密性が高まるので、ベンチレーターを開けてしっかり換気が必要です。
雪が降り続けるようなら、あらかじめテントの周りに溝を掘っておき、雪が溝の中に落ちるようにします。これで下部ベンチレーターが閉ざされることを防ぎます。
冷え込んだ朝は、溶けた雪がファスナー部分で凍りつき、うまく開かなくなることがあります。ファスナーに水がたまらないよう、ファスナー用の潤滑剤を塗布してはっ水性を高めておきましょう。ファスナー用潤滑剤がなければ、ロウを塗りつけて代用することもできます。
テントの設営が完了したら、仕上げにはっ水剤を噴霧して、テントに雪が積もりにくくします。また、設営で使ったスノースコップは、夜になったらテントの前室に収納しておきましょう。これは寝ている間に雪が高く積もった場合の備え。前室に収納しておけば、積もった雪をテント内からかき進めることができます。
オートキャンプ場であっても、冬期のみクルマを横付けできない施設は珍しくありません。ソリがあれば、大型テントの持ち運びが楽になります。
※このコンテンツは、2018年1月の情報をもとに作成しております。