焚き火の有効利用というと明かり取りや調理が考えられますが、木工にも役立つのはご存じでしょうか?炭火の力で木を彫りすすめる「焚き火彫り」は、特別なナイフがなくてもくぼみを削れるという、キャンプ好きなら知っておきたいテクニックのひとつ。今回は、その「焚き火彫り」で作る木の器の作り方をご紹介します。キャンプ場内で拾ってきた木の実などを置いたり、持って帰ってクルマの鍵やサングラスを置いたりと、キャンプサイトで活躍するだけでなく、インテリアとしてもオンリーワンを手に入れられます。簡単に作れるので、ぜひ挑戦してみてください!
更新日:2019.10.09
器の中に入れたいモノよりもひと回り大きなサイズの木を使います。彫りたいくぼみの大きさプラス、四方と深さにおよそ2cmくらいのゆとりがある木を用意しましょう。
今回は、鍵が入るキーケースサイズの小物入れを作ってみます。広葉樹の薪束から、ちょうどいいサイズのものを見つけたので、それを使用しました。薪の他に、角材を利用してもいいですね。
木の用意ができたら、転がりにくい面が下になるよう、ナタで半分に割ります。
ちなみに、広葉樹は堅く、火がつきにくいので時間はかかりますが、じっくり彫り進めていくことができるのが特徴。針葉樹はやわらかく、油分が多くて火がつきやすいので簡単に彫り進められる反面、油断するとくぼみが広がりすぎてしまうことも。
どちらを選ぶかはお好みで大丈夫です。
木の中央に熾きや炭を置きます。
針葉樹はすぐに彫り進んでいくので、小さな熾き・炭を使って慎重に進めます。
広葉樹なら写真のように大きめの炭や熾きを置いて大丈夫ですが、端のほうが焼け落ちないよう注意しましょう。
炭・熾きをトングで木に押しつけると、その部分の木が焦げていきます。勢いのある炭・熾きに取り替えながら彫り進めていきましょう。
この際、火ふき棒があれば、炭・熾きを置いたまま空気を送って火力をアップさせることができて便利です。また、彫り進めたい方向に向かって空気を送り、熱を誘導することもできます。
反対に、燃えすぎのところは炭・熾きをすぐに取り除いて冷ますことも忘れずに。
炭化し、もろくなった部分をトングやスプーンなど金属の棒で削り落とします。
焚き火彫りは、炭・熾きを載せては削りの繰り返しです。彫りが浅いところに炭・熾きを載せて炭化させる、炭化した部分を金属の棒で削り落とす、狙った深さ・大きさのくぼみになるまでこの作業を繰り返しましょう。
フチが燃え落ちることがないよう、焦らず、炭化していくスピードや方向を見ながら、少しずつ彫り進めます。
納得のいく大きさ・深さのくぼみができたらよく冷まします。
今回は、中央に割れができてしまいました。このままでも風合いがあって素敵ですが、気になる人は、削り取った焦げとご飯粒や糊などを練り合わせたものを割れ目に詰めて、塞ぐといいでしょう。
オリーブオイルやクルミオイルなど、植物性のオイルをウエス(汚れ・不純物などを拭き取ってきれいにするために用いる布)で薄く塗り、伸ばします。
小物入れの完成です。
最初に薪を割る際に、安定感のいい面を確認して割っていればぐらつくことはありませんが、もし、ぐらつきが気になるようであればナイフで削って調整してもいいですね。
もっと深く彫れば食器として使えますし、反対に浅く彫って木に模様を描いて遊ぶなんてことも。焚き火彫りをしながら火の特性を知ることができますし、焚き火をもっと有効利用できます。
秋の夜長、ぜひ家族で焚き火彫りに挑戦してみてください。
取材協力:PICAさがみ湖
※このコンテンツは、2019年10月の情報をもとに作成しております。