シェルターや大型テントにあえてインナーテントを張らないで、代わりに小さなテントを中に入れる「カンガルースタイル」が話題です。流行するにはそれなりの理由があるはず。カンガルースタイルのメリットを調べました。
更新日:2020.03.11
大きなテントやシェルターの中に小さなテントを入れるカンガルースタイル。
最近ではあえてフライシートをオプション販売にした小型テントを発表するアウトドアメーカーをちらほら見かけます。カンガルースタイルを意識した販売スタイルと思われますが、メーカーの意識を変えさせるほどの魅力とは、一体なんでしょうか?
テントやシェルターに取り付ける吊り下げ式インナーテントは、高い位置にフックがあったり、外側からでないとうまく床のフックを引っかけられなかったりします。雨の日や寒い日はいちいち外に出て細かな作業をするのは大変ですし、小柄な人はちょっと扱いにくい場面もあります。
その点、小型テントはシェルターの下で組み立てられるので悪天候時の設営・撤収が楽です。フライシートをかける必要がないので、古いテントでも問題なく使えます。
中に入れる小型テントはフライシートをかける必要がありません。小型テント内に熱気がこもりにくいので、夏も涼しく過ごせます。
大きなテント(またはシェルター)の出入り口を大きく跳ね上げれば、より涼しく眠ることができます。
反対に、寒い時期は小型テントにもフライシートをかけておくと、外の冷たい風は大きなテント(またはシェルター)が遮断し、さらに小型テントのフライシートとインナーテントの間にあたたかな空気の層が生まれるので、外に小型テントを立てるよりもぬくぬくと過ごせます。
ふたつの小さなテントを並べて、ひとつは子どもの「初めてのひとりテント」体験用にすることもできます。
秘密基地のような自分だけの空間にドキドキしますが、すぐそばに親がいるので子どもは安心。親もこっそり様子をうかがえます。
子ども専用テントなので、設営や撤収は子どもの仕事。子どもに責任感を持たせる第一歩としてもぴったりです。
グループキャンプが盛んな今、友だち同士でシェルターを共有することも多いと思います。けれど寝室は別にしてプライベートを守りたい、そんな思いがカンガルースタイル誕生のきっかけとなったのかもしれません。
ほかにも、設営時間が短く、ペットとすごせるスペースを多くとれるので、ペットとのキャンプ向きでもあります。
また、靴の脱ぎ履きをする必要がありません。テントの中のものを取るときだって、ちょっと手を伸ばせばいいのですから。雨の日、長靴を履きっぱなしでいいのもメリットと言えるでしょう。
大型テント(またはシェルター)内を自由にレイアウトできるのがカンガルースタイルのメリットですが、中に入れる小型テントのサイズや形状によっては圧迫感を感じることも。サイズ感があわない組み合わせだと、通常の2ルームテントのほうが過ごしやすく感じるでしょう。
中に入れるテントでは、当然ですが、立って着替えることは無理です。
小さなテントであっても、それなりの広さを占拠します。
2本のポールで幕を支えるシェルターの場合、片側が二又ポールだと小さなテントを設置しやすくなります。
また、中に入れるテントは置くだけでいい自立式がベスト。せっかく設営・撤収で楽ができるのに、一部をペグでとめないと形が崩れるようではかえって手間がかかります。
小さなテントと外側のテントが触れると、そこから雨が小さなテントの中に染みこむことがあるので、しっかり距離をとれることも大切です。
人気のカンガルースタイルには、メリットだけではなくデメリットもあります。通常の2ルームテントがいいか、カンガルースタイルがいいか。自分のキャンプスタイルと照らし合わせてから挑戦してみましょう。
協力:PICAさがみ湖
※このコンテンツは、2020年3月の情報をもとに作成しております。