この夏、親子ではじめよう!
子どもに伝えたい「焚き火」術

キッチンではIHやガスコンロ、お風呂もガスや電気での湯沸かしが一般的となった現代では、火をおこす機会はキャンプくらいしかありません。親子で楽しむ焚き火は、子どもに「火」の扱い方を学ばせる絶好の機会。しっかりと大人がリードしてあげながら安全に火をおこす方法を教えてあげることで、火の特性や便利さ、怖さを体感できます。今回は、子どもにはじめて焚き火を体験させる際の上手な教え方や注意事項などをご紹介します。

更新日:2020.07.29

子連れ焚き火に適した場所

テントから離れた広い場所で!

焚き火の周辺で転ぶと大ケガのもと。テントやタープの張り綱には特に注意が必要です。ごちゃごちゃとした道具がない、開けた場所で焚き火をしましょう。
このとき子どもには、「焚き火のまわりで走らない、ふざけない」「焚き火をするのは大人といっしょの時だけ」という約束をしておきます。
万一に備えて水や救急セットなどを、車内などすぐ手に取れる場所に用意しておきましょう。

焚き火の準備も子どもと一緒に!

焚き付けを探しに行こう

よく乾燥した薪であっても、そのままマッチの火を近づけたところでなかなか火が燃え移ることはありません。
よく燃える、乾燥した薄くてやわらかなものや細い枝を探しに行きます。
薄くてやわらかなものとは、松ぼっくりや樹皮、枯れ草などです。キャンプ場の中を探検しながら一緒に探しに行きましょう。
なお、樹皮や枯れ草、小枝はキャンプ場の通路のすぐ脇で拾うことができますが、夢中になって拾っているうちに崖下に落ちる、迷子になることのないよう子どもから目を離さず、時折声をかけてください

軍手やレザーグローブをはめておくと木のトゲが刺さるのを防げますし、虫を払いのけるのにも役立ちます。首まわりや腕への虫除けスプレーも忘れずに。

薪を細く割ってみよう

ナタを使っての薪割りは小さな子には難しい作業ですが、刃物の大切さや危険さを知らせることはできます。
まずは刃物の危険さを教えるために、親が手を添えて刃に軽く触れさせ、「指や足先を切り落とす危険があるから、勝手にナタを触らない」「ナタを使っている人に触れない、周りでふざけない」ことを約束します。
この際、刃にはちょんと触れるだけです。ナタの刃はナイフほど鋭利ではないので、触れた程度で切れることはありませんが、刃の上で指を動かさないようにしましょう。

薪割りは大人の作業ですが、小さな子はなんでも真似したがります。
見本として親が薪割りをして、最後の1〜2本は親が手を添えて薪を割ってみるのもいいですね。

10歳以下であればほぼ親の力で薪を割ることになりますが、薪割りの基本を教えるチャンスです。
薪の年輪に沿って刃をあてると割れやすい」「素手でナタを持つとナタが滑りにくい」、そして「ナタを振り回してはダメ。薪に刃をあてたまま、まっすぐ下に落とす」ことを教えながらやってみましょう。

ナタの使い方はこちらもチェック!
焚き火を極める第一歩 正しいナタの使い方

小学生でも高学年になると力強くなり、一度手を添えれば、子どもだけでもできるようになるでしょう。
手を添えずにやらせるときは、薪を持つ指だけでなく、刃が足に当たらないよう「足先を開いておき、まっすぐ下に刃を落とす」「慌てずゆっくり」も重要です。

ちょっとかさばりますが刃物を使わない薪割り器なら、小さな子も安心して操作できます。プレートに載せた薪をハンマーで打ち付けると、プレートが薪を裂くという仕組みで、小さな子でも安全に薪割りができます。
レンタルをしているキャンプ場もあるので、試して、気に入れば購入してもいいですね。肌寒い時期には、薪ストーブ用にたくさんの薪割りをするときにも重宝します。

いよいよ焚き火!

市販の薪、細く割った薪、そして拾ってきた松ぼっくりと小枝で焚き火をはじめましょう。

焚き火台に松ぼっくりを3個ほど置き、その上に細い薪を置きます。
ちなみに松ぼっくりはよく燃えるので優秀な着火剤となりますが、生乾きだと大きく爆ぜることがあります。注意しましょう

薪は並行に並べるのではなく、米印を作るようにすると空気がたくさん入り、米印の中央部分に熱が集中して、太い薪を燃やすために必要な熱を得られます。

隙間に小枝や樹皮をひとつかみ突っ込んだら、火をつけます。長いノズルがついたライターが便利ですが、CR(チャイルドレジスタンス)機能付きでは子どもがうまく扱えません。大人が手を添えて下の方の松ぼっくりに火を近づけるようにします。
油脂の多い樹皮や葉っぱもよく燃えて焚き火に便利ですが、火がついた樹皮が風に吹かれて焚き火台の外に飛び出す危険があります。火がついたあとに追加するのは避けるなど、扱いには十分注意しましょう。

マッチの場合も大人が手を添えて。
マッチの先が身体の外側になるよう倒して持ち、軽い力でマッチを押し出します。軸が折れにくく、安全に火がつきます。
マッチの頭を箱のすりかわに対して垂直に持ち、手前や身体の外側に向かってはじくようにする方法もありますが、軸が折れやすく、火がついたマッチが自分やほかの人に飛んでいく危険があります。
いずれの場合も、周囲に人がいないか、燃えやすいものがないかを確認してからマッチをすりましょう。

マッチに火がついたら炎を上にして焚き火台のそばに運び、薪の中に落とします。余裕があれば、マッチを一番下にある松ぼっくりまで運んでもいいですね。

熱いところを教えよう

よく乾いた市販の薪なら、放っておくだけで細い薪に火がつきます。細い薪が熾きになったら少し太い薪を追加します。少し太い薪が熾きになったらそれよりも太い薪をくべる……という具合にするだけです。

焚き火をしている間に、不用意に焚き火に近づいてやけどをするかもしれないので「焚き火も焚き火台も熱い」「焚き火に載せたものも熱い」ということを子どもに教えます。
大人が手を添え、いっしょに焚き火に近づいて「これ以上近づくとやけどするよ」と伝え、同時に焚き火台のフチや焚き火台の中の薪も熱いことを知らせておきましょう。危ない話ばかりでは嫌がるので、一緒に焚きつけた火で、焼きマシュマロのごほうびを楽しみましょう!
きっと火との距離感を体感しているはずです。

取材協力:サンタヒルズ
モデル:ミコト&オトハ姉妹
※このコンテンツは、2020年7月の情報をもとに作成しております。