今やキャンプ用のバーナーとランタンは自動点火装置付きが当たり前ですが、いざ使おうと思ったら火がつかなかった、という経験はありませんか?そんなときはライターやマッチ、ファイヤースターターなど、ほかのもので着火できることがあります。この記事では、万一のトラブルで困らないために常備しておきたい、着火道具の種類や特徴などをご紹介。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえでトラブルに備えておきましょう。
更新日:2022.03.09
いつも使っていたバーナーやライターの火が不意につかなくなった、そんなときは自動点火装置のトラブルの可能性があります。スイッチを押すだけで火花が飛び、簡単に着火できる便利な仕組みですが、破損や使用環境によりうまく機能しない場合があります。もう寿命なのかと処分する前に、ライターやバーナーの自動点火装置について知っておきましょう。
バーナーや電子式ライターに搭載されている自動点火装置は、圧電素子を利用して火花を飛ばす装置です。
スイッチを押すことで圧電素子に衝撃が加わり電気エネルギーが発生、火口に向かって放電されます。あらかじめ火力調節つまみを開いているので、火口からは気化したガスが出て周囲の空気と混ざっており、そこに放電されるのでわずかな火花で着火するわけです。
とても便利な反面、実は非常に精密な装置であるため落とした衝撃などで壊れることがあり、火口に向かって放電されなくなると着火できなくなります。シングルバーナーやライターなどは雑に扱いがちですが、故障の原因になるのでていねいに扱いましょう。
ガスが出る音はするのに火花が飛ばず自動点火装置が使えない場合は、ライターやマッチ、ファイヤースターターなど、ほかのもので着火できることがあります。
また、気温や気圧が低い環境では点火装置から火花が出るのに着火できないことがあります。冷え込みでガスがうまく気化できていないことが原因かもしれません。
万一のトラブルで火が使えない、なんてことを避けるために、キャンプへ行く際は悪条件でも安定して火をつけることができる着火道具を準備しておくことが大切です。
キャンプで使われる着火道具で最も定番なのがライター。マッチやファイヤースターターとは違い、片手で着火できるのが魅力です。
ライターの着火方式にはフリント式と電子式、内燃式があります。
フリント式は回転式のヤスリと発火石をこすり合わせて火花を飛ばして燃料に着火させる方法です。
電子式は圧電素子を使うバーナーの自動点火装置と仕組みは同じ。
内燃式は電気エネルギーによって火花が飛ぶのですが、火口が筒状になっていて、その中で気化したガスと空気を混合させて筒の中で着火。炎だけが外に出ます。高温の炎になること、そして筒の先端に触媒線が付いていて炎が消えても再着火しやすいという特徴を持っています。
フリント式は壊れにくいけれど、使っているうちに発火石が摩耗して火花が飛びにくくなります。
一方、電子式と内燃式はガスさえあれば火花を飛ばせますが、精密機器が内蔵されているので衝撃により壊れてしまう危険があります。
燃料はガスとオイルがありますが、ガスライターで使用されているガスはブタンやイソブタンを用いた液化石油ガス、オイルライターで使用されているのは石油やナフサを主成分としたヘキサン系蒸発性燃料です。
ガスは低温では気化しづらいため着火しにくいのですが、イソブタンを使っているものは比較的低温でも気化しやすくなっています。
オイルライターの場合、燃料が芯にしみこんでいて低温に強いように思えますが、やはり寒いと気化しづらく着火しにくくなりますし、夏でも燃料が揮発していて肝心なときに使えない場合も。
ガスを充填するタイプのライターであれば、イソブタンやプロパンを使った寒冷地用ガス缶から充填するというのも手。
とはいえ先にも書きましたが、電子式や内燃式の着火方式であれば、落としたり雑に扱ったりしていると壊れやすいという弱点は変わりありません。
これらを考慮すると、万一の備えとして用意するなら、イソブタンが使われているフリント式のガスライターが一番手軽だと言えるでしょう。
古典的とも言えるマッチですが、気温が低いときは非常に頼りになります。多少ラフに扱っても壊れることはありません。
マッチは軸を持って軸が反らないようにまっすぐ下にすりおろしますが、激安マッチの中には軸が非常に細く、まっすぐすりおろしても折れてしまうものがあるので注意。事前に箱の中を確認しておきましょう。
湿気や水濡れに弱いのがマッチの弱点ですが、最近は防水マッチ、耐風マッチが販売されています。一般的なマッチよりもコストはかかりますが、頼りになりますよ。
近年、焚き火の着火で注目を浴びているのがファイヤースターターです。フェロセリウムやマグネシウムのロッドを、ストライカーと呼ばれる硬く角ばった金属でこすって火花を飛ばします。
ロッドが長いほど、大きな火花が飛ぶので火口やバーナーに確実に着火できます。
ストライカーとロッドがセットで販売されていることが多いのですが、ストライカーを忘れたときは写真のように角がたっているナイフの背を使えば同等の働きをします。ナイフのほうがしっかり持てるので、あえてストライカーを持たない人もいるようです。
狙った場所に火花が飛ぶか不安ですが、ストライカーやナイフを持つ手を固定し、ロッドを素早く引き抜けば火花が大きくそれることはありません。
たとえロッドやストライカーが水に濡れても、水分を拭き取ってしばらくすればすぐに使えます。
両手がふさがるのはマッチと同じですが、マッチはしばらく炎が出るのに対してファイヤースターターは火花が飛ぶだけ。バーナーへの着火が一回で決まらないことがありますし、焚き火ではしなやかな火口が不可欠です。
ファイヤースターターとは少し違いますが、フリント式ライターのように歯車と発火石をこすり合わせて火花を飛ばすツール、火打ち金を使う伝統的な火打ち石もあります。ファイヤースターター同様、比較的湿気に強いので使い方を覚えておいてもいいでしょう。
自動点火装置がうまく機能しないときや、低温下で焚き火をしたいのにいつものライターが使えないときに備え、比較的低温に強いライターをメインに、サブでファイヤースターターか防水マッチを常備しておくと安心です。
着火剤を忘れてしまった際の対処法はこちら
→ 着火剤の代わりになるものは?自作品&チャークロスの作り方も紹介
撮影協力:PICAさがみ湖 https://www.pica-resort.jp/sagamiko/
※このコンテンツは、2022年3月の情報をもとに作成しております。