里山の自然とは?
【自然学習】子どもに教えたい里山と人の関係

更新日:2012.07.31

人の手が加わることで維持される里山の自然

里山保全の専門家、『ハローウッズ』の崎野隆一郎さんは、その背景をこう語ります。

「里山の森林は定期的に手を入れなければ荒れてしまいます。具体的には木を伐採してやるんですよ。萌芽更新(ほうがこうしん)っていうんですけど、大きな木を切って光や風通しをよくしてやります。そうすると新しい芽が出て、あっという間に若木が伸びていくんです。その時、大量に二酸化炭素を吸収してくれます。こうすると山がいつまでもいい状態を保ってくれます。かつて、私たちは近くの山の木を切っていろいろ生活に役立てていました。しかし、今はそういう関係がなくなっています。森は放置されてどんどん荒れてしまうんですね」

切り倒された古木の根本からはこうして若い木が育ちます。樹間の風通しがよくなる、太陽の光も地面まで充分に届くようになるので森自体が若返って活性化します

『ハローウッズ』では、クワガタなど朽木を成長の場として利用する昆虫のために、こうして枝や丸太を集めていました

山や林には、ひとつとして無駄な生きものはいないとも……。

「山は、いろいろな生きものやその生活がうまく関わり合っています。たとえば、木の落ち葉や朽木はクワガタのエサや隠れ家になりますし、時間が経てば腐って土になって、樹木や山自体を支えます。だから、落ち葉や朽木がなければ森や林は成り立たないんです。でも、土って100年に1cmしか積もらないんですよね。
また、カミキリムシが付けたクヌギなどの幹の傷を、スズメバチがかじってさらに深くし、樹液がたくさん出るようになって、それが発酵するとカブトムシやカナブンがやってきます。だから、カブトムシはスズメバチなどがいなければ樹液を吸うチャンスが減ってしまうんです。いろいろな動物がそれぞれの役割を果たして、助け合って生きているんですよ」

落ち葉や枯れ枝が地面に積って、昆虫の隠れ家や幼虫のエサになります。そして、長い時間をかけて土になっていきます。その大切さを崎野さんは強調しました