薪を使い分けて簡単に美味しく!
失敗知らずの焚き火炊飯術
更新日:2019.06.12
- こいしゆうか
- 焚き火で失敗せずにご飯を炊くコツを
教えてもらいました!
こんにちは!焚き火大好き、こいしゆうかです。
みなさん、焚き火でご飯を炊いたことはありますか?
お米の炊け具合を想像しながら焚き火の火力を調整する楽しさに、ふっくら炊けたかどうか、炊き上がって鍋のフタをあける瞬間のワクワク、ドキドキ感。そして、上手に炊けた時の喜び。
焚き火好きにはたまらないイベントのひとつですが、焚き火での炊飯は、火力が強すぎて焦げてしまったり、水分が飛ばずにべちゃべちゃになってしまったり、意外と失敗しがち。きっと、失敗した経験をしている人も多いはず。
失敗しても楽しい。でも、
せっかくなら美味しく炊きたい!
そこで今回は、数多の経験を積んだキャンプのエキスパートに、焚き火で失敗せずにご飯を炊くコツを教えてもらいました。針葉樹と広葉樹の薪を使い分けて炊く、ワンランク上の焚き火炊飯術をご紹介します!
今回教えてくれたのは
アウトドアライター
真田 崇史さん
約10年アウトドア雑誌の編集者として勤務したのち、フリーランスのアウトドアライターに。あらゆるキャンプギアの使い方、焚き火の基本・応用など、おもにビギナー向けの実践的なノウハウ紹介が得意。自宅でも電気炊飯器を使わずに、ガスの炎&土鍋でお米を炊く派。
まずは焚き火炊飯の基本をおさらい
焚き火炊飯に必要な道具
・焚き火で使用できる鍋(ススがついてしまうため、アウトドア用の物が好ましい)
・焚き火台
・グローブ
・火バサミ
・シェラカップ(メモリ付き推奨)
・トライポッド
・ナタ、ノコギリ(薪を小さくするため)
・ガストーチ
鍋は、取っ手などにゴムが付いていないもの(溶けてしまうため)。持ち手が熱くなってしまうので、必ずグローブをして作業するようにしましょう。
ワンランク上の焚き火炊飯術の前に、まずは焚き火でお米を炊く時の基本をおさらいしておきましょう。熱源が焚き火であっても、基本は炭やバーナーで炊く時と同じ。ポイントは、「強火での炊き込み、弱火、蒸らし」の3つです。
なお、美味しく炊き上げるには、お米と水の分量やお米の浸しも重要なポイント。水の分量や浸す時間については、下記ページで詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
→キャンプでご飯をおいしく炊くコツ
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水の分量は、一般的なサイズのクッカーで炊く場合なら、人差し指を使っておおよそ計ることができます。目安は、平らにしたお米から人差し指の第一関節くらいのところまで水を入れればOK。メモリ等がなく、お水の分量が計れない時に使えるので、覚えておくと便利です。
お米を水に浸す時間は、夏は30分、冬は90分が目安になりますよ。
ポイント1.吹きこぼれるまで強火で炊き込む
薪に火をつけ、
焚き火が安定してきたら、強火で炊き込んでいきます。
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風が強いなどの状況に応じて、火力を維持するために、適宜、薪を足していきましょう。
フタの隙間から吹きこぼれ始めたら、次の行程に移る合図。
ポイント2.弱火にして12分ほど待つ
熾火になった薪と燃え上がっている薪とを分け、弱火にします。
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失敗しやすいのがココ。火力が強いままだと焦げ付きやすいんです。吹きこぼれる、またはフタがカタカタと音を立て始めたら、弱火に切り替えましょう。
弱火をキープしたまま、おおよそ12分ほど待ちます。風の強さなど、その日の条件によって目安の時間は多少変わりますが、12分〜15分が目安です。
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慣れないうちは時間をしっかり計った方が失敗しにくいです。長過ぎるとお米の水分が飛びすぎて硬くなりやすく、焦げ付きの原因に。短すぎると水分が残りすぎてべちゃっとなってしまいます。
ポイント3.10分ほど蒸らす
弱火で12分が経過した後、火から離して10分ほど蒸らしたら完成です。
鍋のフタをあけると、
ご覧の通り、ふっくらキレイに炊けました!
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「強火で炊き込み→弱火(12分~15分)→蒸らし(10分)」これが基本の形。この基本は、焚き火だけではなく、炭やバーナーを使ってお米を炊く際にも大切なポイントになるので、抑えておいてくださいね。
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ふむふむ。弱火の時間を計るだけでも、かなり失敗を減らせそう。
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では続いて、針葉樹と広葉樹の薪を使い分けて炊き上げる方法をやってみましょう。
薪は、木の種類によって燃え方が異なり、針葉樹は火付きが良いのが、広葉樹は火付きは良くないけれど火持ちが良いのが特徴。この特性の異なる2つの薪を使い分けることで火力の調整がしやすくなり、より安定して美味しいご飯が炊けるんですよ。
薪を使い分けて炊き上げる!
ワンランク上の焚き火炊飯術
針葉樹と広葉樹、それぞれの薪を用意します。針葉樹は主にスギやヒノキなど、広葉樹は主にナラやクヌギなどです。樹種によっても違いはありますが、そこまで気にする必要はありません。今回は、スギ、ヒノキ(針葉樹)とシラカバ(広葉樹)を使用しました。
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針葉樹か広葉樹か、使用する薪の種類を把握しておくと炊飯以外でも役立ちます。キャンプ場で購入した場合など、どちらかわからないという時は、「重さ」に注目してみてください。
持ってみて、ずっしりと重いものは広葉樹である可能性が高く、針葉樹は軽いものが多いです。
まずは焚き火の準備。薪の組み方は、今回は広葉樹に針葉樹を立てかける「差し掛け型」にしました。
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ここがまずひとつ目のポイント。広葉樹は火付きが良くないので、火付きの良い針葉樹を立てかけ、先に燃え出す針葉樹の火力で広葉樹に着火させるようにします。
着火剤&ガストーチを使って着火。まずは、立てかけた針葉樹が先に燃えていきます。
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やっぱり針葉樹は火付きがいいですね。
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そうですね。火付きがいいから、火力もすぐに上がります。
●強火で炊き上げ
針葉樹の火力を活かして、強火で一気に鍋を熱していきます。
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状況にもよりますが、針葉樹を使った場合、強火の炊き上げに要する時間は着火からおおよそ10分程度です。時間を見ながら、火力が足りなくなりそうであれば、針葉樹を足して強火を維持しましょう。
補充用の針葉樹はあらかじめ小さくしておくと、火力の調整がしやすいです。
●弱火へ移行
フタの隙間から吹きこぼれてきたら、激しく燃えている針葉樹をよけ、広葉樹の火力へと切り替えます。これで弱火への移行が完了です。
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広葉樹は火持ちが良く、火力が安定しているため、弱火でじんわりと鍋を温めていくのに最適なんです。難点となる火付きの悪さも、針葉樹を着火に使うこの方法なら解消できます。
ちなみに、針葉樹の方が先に燃え尽きるため、強火時の薪の配分がうまくいった際は、わざわざ針葉樹をよけなくても、自然と広葉樹だけが残った状態になりますよ。
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強火から弱火へ自然に移行!? もしこの炊飯術を極められたら、時間さえ気にしておけば、火を付けた後は何もしなくても美味しく炊けるかも!
●蒸らし
基本の炊き方と同じく、弱火で12分が経過した後、火から離して10分ほど蒸らします。
なお、チェーンで鍋の高さを調整できるトライポッドなら、吊るしたままじんわりと熱が加わる程度の距離まで遠ざければOK。寒い時期は、火から完全に離してしまうと蒸らしている間にお米が冷めてしまいますが、この方法なら冷めることなく蒸らしも行えます。
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高さの調整ができないトライポッドでも、脚をせばめれば火と鍋の距離を調節できるね。
このまま10分蒸らせば完成です。
こちらも美味しそうにふっくら炊けました!
薪を使い分けて炊き込んだ
ご飯のお味は?
では早速、薪を使い分けて炊き込んだご飯も食べてみましょう!
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むむむ!!!
薪を使い分けて炊いた方が美味しく感じる!
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針葉樹を多めに使って一気に火力を高めたから、その差が出たみたいですね。
実は、この針葉樹から広葉樹に火を移していくやり方は、昔のかまどでの調理や、薪でお風呂を焚くときに使われていた方法なんです。最初に火付きのいい針葉樹を使って火をつけて、安定した火力で長持ちする広葉樹に徐々に移していく。先人の知恵ってすごいですよね。
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本当にすごい!
2つの薪を準備する手間はあるけど、ずっと火力を見ていなければいけないことに比べれば簡単だし、何より美味しかった!
【まとめ】失敗しない焚き火炊飯のコツ
●焚き火でお米を炊く時の基本
・吹きこぼれるまで強火で炊き込む
・吹きこぼれてきたら、弱火にして約12〜15分火にかける
・弱火で12分経ったら、火から離して10分蒸らす
★しっかり時間を計った方が失敗しにくい!
●針葉樹と広葉樹を使い分けるポイント
・火付きが良く、すぐに火力が強くなる針葉樹を使って炊き上げつつ、広葉樹にも火を移しておく
・吹きこぼれた後は、火力の安定する広葉樹でじっくりと弱火をキープ
・トライポッドを使えば、火から離さずに吊るした状態で蒸らすこともできる(寒い時期に最適)
風や気温など、気象条件の影響を受けやすいキャンプでは、基本通りにやってもうまくいかないこともしばしば。バーナーなど安定した火力で炊いた方がお手軽ですが、あえて焚き火でやってみることも面白いですよ。
それに、薪の種類を使い分けて焚き火をすると、なんだかキャンプのレベルがあがったような気分に! 焚き火に対するモチベーションも上がって、もっと上手に火を扱えるようになりたいと思いました。
ぜひみなさんも、薪の特性を知った上で薪を使い分けて、焚き火炊飯に挑戦してみてください!
おまけ
炊飯中の焚き火を使って、ケトルやシェラカップに入れた具材も温めておけば、炊き上がりと同時にほかほか料理を楽しめます。
※このコンテンツは、2019年6月の情報をもとに作成しております。