激うまBBQスパイスソルトを作ろう!
調合の基本やおすすめ調合例

更新日:2020.05.20

こいしゆうか
スパイスの専門家に
調合の秘訣を教えてもらいました

こんにちは!こいしゆうかです。

みなさん、「スパイスソルト」ってご存知ですか?
塩にさまざまなスパイスやハーブをブレンドしたもので、サッとひと振りするだけでBBQが美味しくなると、近年、グルメなキャンパーの間でブレイク中。なかにはオリジナルのスパイスソルトを販売するアウトドアショップがあるほど、注目が高まっています。
そこで今回は、このスパイスソルトの調合に挑戦!スパイス専門家に教えてもらった、激うまBBQスパイスソルトを作るコツやおすすめの調合例をご紹介します。

ひとえにスパイスソルトといっても、スパイスには100を超える種類があり、ピリッと刺激的な風味や爽やかな香りなど、その味わいは多種多様。さらに、食材によっても相性のよいスパイスが変わるという奥深い世界。そこで今回は、BBQやキャンプの定番食材「牛肉」に合うスパイスソルトをテーマに、先生が考案した好みで使い分けられる4つのおすすめ調合例を実際に試しながら、奥深きスパイスの世界を覗いていきたいと思います。

ちなみにスパイスソルトは、保存が効いて、持ち運びもしやすいので、時間がある時にお家で試すのにももってこい。自分で調合して激うまのスパイスソルトが完成した暁には、今度のキャンプがもっと楽しくなるはずです!

今回教えてくれたのは

印度カリー子さん

「スパイスカレーをおうちでもっと手軽に」をモットーに、初心者のためのオリジナルスパイスセットの開発・販売、料理教室運営など幅広く活動するスパイスのプロフェッショナル。著書に「わたしでもスパイスカレー作れました!」「おいしく痩せるスパイスカレー」などがある。

牛肉用のスパイス調合の基本を知ろう!

100を超える種類があるスパイスですが、その風味は大きく「うまみ」「甘み」「爽やか」「辛み」の4つにわけられます。なかでも重要なのが「うまみ」のスパイス。これをベースに好みの風味を足していくことで、バランスの取れた美味しいスパイスソルトになります。辛いのが好きだからといって辛みのスパイスだけで調合すると、ただ辛いだけでうまみのない風味になってしまうのでご注意を。

うまみスパイスの量>その他のスパイスの量」にするのがスパイス調合の基本です。はじめのうちは、うまみスパイスを多めに調合すると失敗しにくいと思います。牛肉に合わせる場合は、うまみ8:その他2でもちょうど良いくらいです。

【代表的なスパイス】

うまみ
パプリカパウダー、ガーリックパウダー、クミンパウダー、ターメリック(入れすぎ注意)、ジンジャーパウダーなど

甘み
シナモン、オールスパイス、クローブ、スターアニス、ナツメグなど

爽やか
バジル、フェンネル、コリアンダー、カルダモン、オレガノ、パセリなど

辛み
ブラックペッパー、カイエンヌペッパーなど

また、スパイスソルトを調合する上でもうひとつ重要となるのが、塩の割合。スパイスは「香り」を出すために使うもので、スパイスだけを調合しても味はほとんどありません。必ず塩を入れて味を調えるようにしましょう。

牛肉に合わせる場合は、塩とスパイスの全量の比率がおおよそ1:1になるようにすると、味とスパイスの風味のバランスがちょうど良くなります。

牛肉用スパイスソルト調合の基本

うまみスパイスをベースに調合する
(うまみスパイスの量>その他のスパイスの量)

塩を入れて味を調える
(塩:スパイスの全量=1:1)

振りかけたい食材によっても調合は変わってくるのですが、まずは上記の2つのポイントをおさえておけばOK。オリジナルスパイスソルト作りを楽しめます。

ふむふむ。結構、塩をたくさん入れるのか。要チェックですな。

牛肉に合うおすすめの調合4種をご紹介!

今回は牛のステーキ肉で、おすすめの調合4つを試してみました。同じステーキ肉なのに、使うスパイスソルトでビックリするほど違う味わいに!
使用するスパイスはどれもスーパーなどで手軽に手に入るものばかりなので、ぜひみなさんも試してみてくださいね!

今回使用したスパイス(9種類)

うまみ

1.パプリカパウダー 唐辛子の仲間で、辛みのない「パプリカ」という品種を粉末にしたもの。うまみ成分のグルタミン酸を持ち、お肉との相性抜群。サラダなどにふりかけるときは、単純に色付けとして使うことも。

2.ガーリックパウダー コクを出したり、味にアクセントを付けたいときに重宝するスパイス。少量加わるだけでもガーリックの香りが強く出る。にんにくの香りが食欲増進効果を持ち、食材の下味つけに適している。

3.クミンパウダー 「カレーの香り」といえばこのスパイス。加えて、メキシコや東南アジアなどでも使用されていて、エスニック料理の風味も漂う。エスニックな風味やほのかな苦味、辛みを加えたいときに。

甘み

4. シナモン 甘さと独特の辛さを併せ持つ。料理から洋菓子に幅広く使われ、ミルクティーなどのトッピングとしてもお馴染み。上品な味わいや、深い甘さと辛さを出したいときに。

5.オールスパイスシナモン、クローブ、ナツメグを合わせたような爽やかな甘い香りが特徴のスパイス。それぞれの代役にもなり、汎用性が高い。肉料理と混ぜると味に深みが出る。ほんのりとした甘さを加えたいときにも効果的。

爽やか

6.バジル爽やかな香り。クセがないため、トマト料理やお肉料理など、様々な料理で活用されている。肉や魚料理で爽やかな香りを追加したい場合に適している。

7.フェンネル独特な甘い香りとミントのような清涼感が感じられるスパイス。インドでは、食後に種状のものをそのまま口に入れて、口直しに使う習慣がある。魚や肉の匂い消しや、ほんのり甘く爽やかな香りが欲しいときに。

辛み

8.ブラックペッパー黒胡椒。日常的にも使うことの多いブラックペッパーは、ツンとした香りとピリッとした辛さが加わる。ピリッとした辛さや香りをアクセントにしたいときに。

9.カイエンヌペッパー赤唐辛子の実を乾燥させたスパイス。口に含むと辛みの強いスナック菓子の香りがする。強い辛みが特徴で、激辛好きはこのスパイスを多めに入れると良い。チリコンカン、キーマカレーにも使われる。

調合に使用する道具

・混ぜ合わせるもの(今回はスプーン)
・計量器
・調合後に入れるスパイスボトル
・混ぜ合わせるために使うシェラカップ(ボウルなどでも可)

スパイスの分量を正確に量るために、計量器を使うのがおすすめ。目分量や大さじ・小さじでの調合は、各スパイスの分量にばらつきが出てしまう可能性があり、うまく作れた時の再現性が低くなってしまいます。試した調合の分量をメモしておくのも忘れずに。また、もし失敗した場合は、どのスパイスを何グラム入れたのかを把握していないと、同じミスを繰り返してしまいかねません。正確に計量しましょう。

調合のやりかた

難しいことは何もなく、分量を計りながらひとつずつスパイスを加えて、混ぜ合わせるだけ。入れる順番は気にしなくてOKです。スパイスを加えていく際は、玉にならないようにほぐしながら加えていきましょう。

こちらが完成したスパイスソルト。

ボトルに入れておくとお肉や野菜に振りかけやすく、持ち運びにも便利です。

風味のバランスがGOOD!
万能スパイスソルト

まずは「うまみ・甘み・爽やか・辛み」のスパイスをバランスよく調合したスパイスソルトをご紹介。これをベースに辛みや爽やかなど、好みの風味のスパイスを足し引きすると調整しやすいので、基本としておさえておきましょう。

【分量】

塩…39g
スパイス…合計39g

【スパイスの内訳】

うまみ
・クミンパウダー…10g
・ガーリックパウダー…10g
・パプリカパウダー…10g
甘み
・シナモンパウダー…3g
爽やか
・フェンネルパウダー…3g
辛み
・ブラックペッパー…3g

【風味の比率(約)】

うまみ7.6:甘み0.8:爽やか0.8:辛み0.8

実食!

んん!!美味しい!
なんだかオシャレなステーキになった感じ!すごく優しくて、ちょっぴり高級感がある。塩こしょうだと味に飽きてしまうこともあるんだけど、このスパイスソルトだと何切れも食べられちゃう!

それは、シナモンの効果によるところですね。シナモンは、肉自体が甘い香りを持つ牛肉との相性が抜群なんです。
このスパイスソルトは、牛肉に合うように4つの風味をすべて混ぜ合わせてバランスをほど良く調えました。例えばこれが豚肉になると、豚肉は肉の香りと脂がクミンとの相性がいいため、クミンの分量を多めにして、甘みのスパイスは調合しません。一方、鶏肉の場合は、うまみスパイスに加えて、バジルやコリアンダーといった爽やかなスパイスを調合します。バジルチキンってよく見かけますよね?
素材によって合うスパイスが異なり、分量も違うんです。

素材によって??
スパイスソルト、奥が深い…。でも、難しいことはあまり考えず、あれこれやってみるのが楽しそう!

豚肉や鶏肉のおすすめ調合例もこのページの最後に掲載しておきますので、興味がある方は、そちらもぜひご覧ください!
なお、うまみや甘みなど、同じ系統のスパイスでも、調合するスパイスの種類や割合で仕上がりは変わってきます。分量の多いうまみ系のスパイスは、1種類を大量に入れるよりも、複数を調合した方が風味に深みが出るのでおすすめです。

爽やかな風味を楽しみたい方ににおすすめ!
バジル香る洋風スパイスソルト

上で紹介した万能スパイスソルトにバジルを加え、爽やかな風味を強くしたスパイスソルト。うまみスパイスのクミン・ガーリックの風味に、駆け抜けるバジルの洋風なハーブの香りを楽しめます。
スパイスの分量を増やした場合は、その分塩の量を増やすのを忘れずに。

【分量】

塩…42g (←3g追加)
スパイス…合計42g

【スパイスの内訳】

うまみ
・クミンパウダー…10g
・ガーリックパウダー…10g
・パプリカパウダー…10g
甘み
・シナモンパウダー…3g
爽やか
・フェンネルパウダー…3g
・バジルパウダー…3g(追加)
辛み
・ブラックペッパー…3g

【風味の比率(約)】

うまみ7.1:甘み0.7:爽やか1.4:辛み0.7

実食!

たった3gバジルを加えただけなのに、さっきと全然違う!

これは爽やかな風味を楽しみたい方に向けた調合です。例えるならば、唐揚げにレモンをかけるように、全体を軽やかな香りで包み込みます。鶏肉にかけて食べても美味しいですよ。

辛いもの好きにおすすめ!
病みつきスパイシースパイスソルト

万能スパイスソルトの調合をベースに、うまみのパプリカパウダーを辛みのカイエンヌペッパーに変更。全体のバランスの良さは残しつつも、カイエンヌペッパーのガツンとくる辛みが病みつきになります。

【分量】

塩…39g
スパイス…合計39g

【スパイスの内訳】

うまみ
・クミンパウダー…10g
・ガーリックパウダー…10g
甘み
・シナモンパウダー…3g
爽やか
・フェンネルパウダー…3g
辛み
・ブラックペッパー…3g
・カイエンヌペッパー… 10g(←パプリカパウダーから変更)

【風味の比率(約)】

うまみ5.1:甘み0.8:爽やか0.8:辛み3.3

実食!

辛いものが好みな人向けの調合です。今回はパプリカパウダーをまるっとカイエンヌペッパーに変更しましたが、少しだけ辛さが欲しい場合は、パプリカパウダーとカイエンヌペッパーを半々にして、5gずつ入れてもいいですよ。

ひとつのスパイスを追加したり、変えたりするだけでスパイスソルトに特色が出ておもしろい!
なんだか実験みたい!

スパイスソルトの調合は、ある意味「実験」です。
スパイスの調合に変化を加えるときは、ひとつずつ変えることをおすすめします。一気に2つ以上を変えてしまうと、どのスパイスがどのような影響を与えているのかがわからなくなるからです。

塩味に飽きたら!
甘じょっぱい味わいのシナモンスパイスソルト

最後は応用編。スパイスと塩に、砂糖を加えたスパイスソルトをご紹介します。深い香りのシナモンをベースに、砂糖を加えて甘じょっぱくすることで、ステーキ肉が誰もが知っているあの味わいに!これまで紹介した調合の法則とは全く異なりますが、素材に合わせて、いろいろと試してみるのもおもしろそうです。

【分量】

塩…35g
砂糖…38g
スパイス…合計38g

【スパイスの内訳】

うまみ
・パプリカパウダー…5g
甘み
・シナモンパウダー…15g
・オールスパイス…5g
爽やか
・フェンネルパウダー…13g

【風味の比率(約)】

うまみ1.3:甘み5.3:爽やか3.4:辛み0

実食!

牛肉自体が甘い香りをもつため、甘いスパイスとの相性が抜群!
スパイスで牛肉の良さをより引き立たせることをイメージした調合です。素材によって変化させたり、季節や自分の気分によっても風味を変えられる、それがスパイスのおもしろさでもあるんですよ。

すごい!
牛肉の甘さがより際立って美味しい。すき焼きっぽい。

このスパイスソルトは、塩味に飽きてきたBBQ後半にもおすすめ。焼きバナナや玉ねぎに使ってもよく合いますよ。

こいし実践!オリジナルスパイスソルトを作ってみた

スパイスソルト作りの楽しさに触れたところで、ここまでの内容を踏まえて私も実際にオリジナルのスパイスソルトを調合してみました。
こいしオリジナルスパイスソルト、その名は「スパイス 初夏の風」です!
ピリ辛だけど、あとから爽やかな香りがする、そんなスパイスソルトをイメージしました。

【分量】

塩…20g
スパイス…合計20g

【スパイスの内訳】

うまみ
・ガーリックパウダー…5g
甘み
・オールスパイス…1g
爽やか
・フェンネルパウダー…3g
・バジル…3g
辛み
・カイエンヌペッパー…5g
・ブラックペッパー…3g

【風味の比率(約)】

うまみ2.5:甘み0.5:爽やか3.0:辛み4.0

爽やかさと辛さを際立たせたいから、応用編の調合みたいにうまみの割合を減らして、その分を辛みと爽やかに大きく振ってみました。甘みは隠し味的にオールスパイスを1gだけ加えてみたのですが、どうでしょう?

実食!

イメージしていたよりも刺激的に仕上がりました…。やっぱり基本ルール(うまみ>その他)は守った方が良かったかな?
次は辛みを減らして、うまみにパプリカパウダーを加えて……ぶつぶつ

自分であれこれ考えて調合するのっておもしろい!

こいしオリジナルスパイスソルトは大成功とはいきませんでしたが、自分であれこれ考えて調合するのっておもしろい!家で実験して、今度のキャンプまでには満足のいくスパイスソルトを完成させたいと思います。
サッと振りかけるだけでオシャレな味わいになるだけでなく、ひとつの食材をさまざまな風味で楽しめるようになるスパイスソルト。ぜひみなさんも、今度のBBQやキャンプに向けて、オリジナルのスパイスソルトを調合してみてください!

おまけ:豚肉や鶏肉に合わせた調合例

今回は牛肉に合わせた調合をご紹介しましたが、豚肉や鶏肉に合わせるなら、下記の調合がおすすめ!ぜひ試してみてくださいね。

【豚肉におすすめの調合】

うまみ
・クミンパウダー…20g
・ガーリックパウダー…10g
・パプリカパウダー…10g
辛み
・ブラックペッパー…5g

・塩…35g

【鶏肉におすすめの調合】

うまみ
・クミンパウダー…10g
・パプリカパウダー…6g
爽やか
・コリアンダー…15g
・バジル…3g

・塩…34g

撮影協力:ビッグウィング https://www.bigwing.co.jp/
今回登場したクルマ:フィット

※このコンテンツは、2020年5月の情報をもとに作成しております。