キャンプに最適!
ネイチャークラフトで
フックやハンガーを作ろう!
更新日:2020.06.24
- こいしゆうか
- ネイチャークラフトの基本と
S字フック・ハンガーの作り方をご紹介!
こんにちは!こいしゆうかです。
今回は、落ちている枝を使ってキャンプに便利なアイテムを作る、キャンプの遊びにもぴったりな「ネイチャークラフト」をご紹介します。
ちなみに「ネイチャークラフト 」とは、自然の中にある小枝や葉っぱなどからイメージを膨らませて、その形や素材を生かしたモノを作ること。ナイフやノコギリ、麻ひもなど、必要最小限の道具を使って、自然にふれあいながら気軽に遊ぶことができます。しかしながら、落ちている枝から完成形をイメージする想像力はもちろん、適した素材を選ぶための植物の知識や、ナイフなどの技術力も必要となる奥深い遊びです。
今回はネイチャークラフト作家の先生を招いて、S字フックやハンガーなど、作ってすぐに使える便利なアイテムをクラフトしながら、このネイチャークラフトを体験していきたいと思います。作り方や作る際のポイントも紹介しますので、ぜひ遊んでみてください!
今回教えてくれたのは
ネイチャークラフト作家
長野修平さん
アトリエ「NATURE WORKS」を主宰。自然物や廃材で、「必要なモノ、使えるモノ」をテーマに生活道具やフィールドツール、自邸に至るまでを制作。ネイチャークラフト作家。アウトドア料理人。
ネイチャークラフトで使う道具はいたってシンプル!
必要な道具
・ノコギリ(太い枝を切る用と細かい加工用の2種類。どちらか1種類でも可)
・枝切りバサミ
・麻紐(太さ1.5mm)、綿ロープ(太さ5mm)
・ウッドカービングナイフ(キャンプナイフでも可)
道具は、ホームセンターなどで購入できるものばかりです。麻紐は100円ショップなどでも手に入ります。ナイフは、作るものによって使い分けるとより完成度が高まるため、ネイチャークラフトをより深く楽しみたい方は、複数サイズを用意しておくのがおすすめです。ナイフにはさまざまな種類があるので、以下を参考にしてください。
また、刃物を扱うため、必要に応じて手袋をするようにしましょう。
ネイチャークラフトで使用するナイフ
●ウッドカービングナイフ
ネイチャークラフトをする場合は、木材を加工するクラフト用のウッドカービングナイフが最適です。先端が尖っていることにより、ナイフで穴をあける作業もできます。上の写真の1〜4のナイフのそれぞれの特徴としては、
1:安全のために刃先が丸みを帯びている。初心者向き(小学4〜5年生から取り扱える)
2:1とほぼ同サイズで先端が尖っているタイプ
3:刃渡りが短く、細かい作業に向いている
4:この中では最も上級者向け(先生が使用)。刃渡りが長いため、大きめな木工作業に向いている。先端がより鋭利なため穴をあける作業にも適している
1と2は、刃と持ち手の間に「つば」があることで、安全に扱うことができます。
ナイフに不慣れな人は、先端は尖っているけど、つばがあるタイプ(2)や、先端が丸くてより安全なタイプ(1)を使うことをおすすめします。
●キャンプナイフ
細かな薪をつくったり、火口を作るときなどに使うキャンプナイフも、ネイチャークラフトで使うことができます。
しかしながら、キャンプナイフはキャンプの様々なシーンで使えるように設計されているため、細かい作業には不向きな面も。ネイチャークラフトを本格的に楽しむならば、専用のウッドカービングナイフの方が最適です。
森の中に素材を探しにいこう!
ネイチャークラフトで使う素材は、森の中で収集します。森の中にはさまざまな種類の木がありますが、身体に害のないものを選ぶようにしましょう。ウルシのように、触れるとかぶれてしまうような木はNGです。
また、生木の採取は厳禁のため、落ちている枝を拾うことが基本です。
素材集めのポイントは、朽ちたばかりの枝を拾うこと。目安としては、緑の葉っぱがついているものを探すのがいいでしょう。また、地面に埋もれている枝は、虫がついている可能性が高くなります。なるべく地面にぺたっとついていない枝を拾いましょう。
-
なんで、緑の葉っぱがついているものがいいのですか?
-
緑の葉っぱがついているということは、より生木に近く水分が多い状態のため、加工がしやすいんだ。枯れている枝だと折れやすくて、しかも、虫が枝の中に入り込んでいる可能性も高くなるよ。
素材を見つけたら、ノコギリや枝切りバサミなどで持ち運びやすい大きさにカット。この時、枝にトゲがある場合もあるので、手袋をして作業しましょう。
-
素材探しは、作りたいものを想像して、それに適した枝を探すことがポイントだよ。
-
・・・。
先生、枝が枝にしか見えなくて、全くわかりません!
-
慣れれば、あーこの枝の形はこういうモノが作れるなと見えてくるのだけれど、最初は難しいから、まずはいろんな素材と形の枝を拾い集めて、自分たちのキャンプサイトでゆっくり観察してみるのがいいと思うよ。
-
普段、こんなにも枝や木のことをマジマジと観察する機会ってあまりないから、なんか新鮮です!
-
ネイチャークラフトは、作るものに対してどんな素材(枝)が適しているのか、あるいは、この枝ならどんなものが作れるだろうか、と想像したり、木のことをより詳しく知れることも楽しみのひとつ。失敗から学ぶこともあるから、まずは作ってみて、遊びながら木のことを知っていくこともいいんじゃないかな。
S字フック、C字フックを作ろう!
早速、拾ってきた枝を使ってクラフトしていきましょう。まずは、キャンプでシェラカップなどの小物を引っ掛けたりするときに便利な、S字フックとC字フックを作ります。
おおまかな作り方は下のイラストの通り!
このイラストをもとに、ポイントとなる部分を詳しく解説していきます。
STEP.1
V字の素材を探す
先ほど拾ってきた枝の中から、フックに適した素材を探します。
素材選びのポイントは、枝分かれしている部分からV字を2つ見つけることです。
S字フック・C字フックに適した素材
●枝分かれしている部分がV字になった枝(2つ)
V字になっている部分を見つけたら、枝切りバサミで切り落としましょう。2つの素材は、なるべくV字の角度や太さが似通ったものが適しています。長さはあとで調整できるので、少し長めに切っておくと安心です。
また、S字フックは枝のV字の幅がやや狭めの方が、出来上がったときに吊り下げるバランスがよくなります。
素材の取り出し完了。ちなみに、今回使用した木はバラ科のものだそうです。
STEP.2
フックの形に合わせて、余分なところをカットする
ここからさらに、フック部分の長さと幹となる部分の長さを整えたるために、枝切りバサミを使ってカットします。今回は、フック部分は3cm程度、幹の部分はおおよそ均一の長さになるようにカットしました。
これだけでS字フックの完成形にだいぶ近づいてきました。
-
おぉ!もう完成形が見えた!
簡単!?
素材を選ぶときがちょっと戸惑ったけど、ひとつV字を探せたら、あとはそれと似た形を探せばよかったのでイメージがつきやすかった!
-
そうだね。ネイチャークラフトは素材の特徴を生かして作るものだから、素材をよく観察してイメージに近い形を見つけたら、もうそこで土台はできたようなもの。ここからナイフとロープを使って完成まで作っていくよ。
C字フックの場合は、飛び出た枝を同じ向きにして作ればOK。今回は先生がC字フックを作り、わたしがS字フックを作ることにしました。
STEP.3
ナイフで接続部分を平らに削る
ここからは形を整えた2つの素材を組み合わせていく作業。まず、重なり合う部分の幹をナイフで削ります。
ナイフを入れる前に、どこを削るべきなのかをペンで記しておくと、間違えずに削れます。S字フックを作ろうと思ったのに、削った面を重ねてみたらC字になった…、なんてことにならないよう、削る面に注意して印をつけましょう。ちなみに上の写真は、C字フックを作る場合の印です。
ペンで書いた印を目安に、ナイフを入れていきます。接続部分が平らになるようにていねいに削りましょう。
削るときのポイントは、ナイフを持つ手は膝の上においてしっかりと固定して、枝を持っている手を後ろに引くようにして削ることです。ナイフが固定されていれば、刃先が動くことがなく、より安全です。
平らに削ったら、接続部分がズレないように接続面にナイフでギザギザ(うろこ)を入れます。この作業をやることで、摩擦により2本の枝がしっかりとまとまります。
また、すべての枝先の面取り(角を落とすこと)も行います。このひと手間を加えることで、樹皮が剥けにくくなります。
STEP.4
紐で巻く
接続部分を紐で巻きます。2本の枝がズレないように、なるべくきつめに巻きましょう。ロープワークはアメリカンホイッピングを使用するのが便利です。
完成!
-
最初はナイフが少し怖かったけど、だんだんと無心で木を削ってた!
-
木を無心で削る時間もネイチャークラフトの醍醐味のひとつ。キャンプののんびりとした時間だからこそ、楽しめるのがいいよね。
ハンガーを作ろう!
キャンプ場は朝夕の気温差が激しいため、上着などをさっと掛けられるハンガーなどがあると便利です。ただ、家にあるハンガーを持っていくにはなんだか味気ないし...。という方におすすめなのが、ネイチャークラフトで作るハンガーです。
おおまかな作り方は下のイラストの通り!
STEP.1
への字、トの字の素材を探す
ハンガーに適した素材
●への字型で中心でバランスがとれる枝
●カタカナのトの字のような枝
選びだした素材は、こちらの2つ。
への字の枝は中心に指を置いて安定するようなものであればOKです。
STEP.2
接続部を削る
2つの素材を組み合わせるために、への字の枝の真ん中と、トの字の枝の下部を削っていきます。
まず、接続部分にトの字の枝をあてながら、S字フックの時と同様に、カットする部分にペンを入れます。
トの字の枝を削ります。ペンで書いた印を目安に、枝の表面から1/5程度の深さで枝の外周を一周削りましょう。
続いて、への字の枝の接続部分をトの字の枝の削った部分に合う幅で削ります。先にノコギリで、削る幅の中心部分に1/3くらいの深さの切れ目を入れると、ナイフを入れやすくなります。
また、への字の枝の端の面取りをしておくと、服をハンガーに掛けたときに木にひっかからずに、スムーズに袖を通せるようになります。
STEP.3
麻紐でしばる
トの字の枝の溝に巻き結びをしたら、への字の枝に組み合わせ、「かくしばり」で固定していきます。最後は、枝が乾燥して収縮した時に結び直せるように、片蝶結びで終えましょう。
完成!
自然素材のオシャレなハンガーができました。
-
への字の部分が洋服をかける部分にぴったり!
全然作り込まないでできるんですね。素材を生かした形に仕上げるというイメージ。
-
そうだね!素材の形をそのまま生かして、欲しいものを作り上げるのがネイチャークラフトの遊び方だね。
ネイチャークラフトは
キャンプの時間をより充実させてくれる!
-
最初はわからなかった素材の選び方が、だんだん見えるようになってきたかも...!
-
ホームセンターなどでも木の素材は売っているけれど、V字なんてものは売ってないよね。ネイチャークラフトは、自然のなかに落ちているものから想像して、それを生かすようにちょっと手を加えるだけなんだ。そのためには適した素材の木の種類なども気になってくるし、実際に作っていくことで、“これは粘り気のある木がいいな”なんて気づくようになってくるよ。
-
自然と親しんで、イメージしながら作り上げていくネイチャークラフト!
自分で作ると愛着がわきますね。自然の素材だから、キャンプサイトにも馴染むなぁと思いました。
さっきまでただの枝だったものが、キャンプですぐ使えるアイテムに大変身。どれも、色をつけたり無理に形を整えるのではなく、手を加えすぎず素材の形を生かしたアイテムとなりました。キャンプサイトで、何かをひっかけるものがほしいなと思ったとき、ふらっと落ちている枝を見回してみるのもいいかもしれませんね。
イメージを膨らませてよく自然を観察しながら作るネイチャークラフトは、キャンプの時間をより充実させてくれること間違いなし!
まずは、森の中を散策して素材を拾い、お手持ちのナイフで枝を削るところから始めてみてはいかがでしょうか?
おまけ:蚊取り線香台を作ろう!
最後に、夏のキャンプで役立つ蚊取り線香台の作り方をご紹介。とても簡単に作れるので、ぜひ試してみてください!
STEP.1
蚊取り線香の幅に合わせたV字型の枝を探す
V字の幅が狭すぎると蚊取り線香が刺せないので注意。
STEP.2
蚊取り線香を刺す部分と、地面に刺す枝先をナイフで削る
蚊取り線香は、台にさせるように穴があいているので、その穴に合うように枝を削ります。
また、地面に刺す部分の枝先も軽く削っておくと刺しやすくなります。
ペグのように地面に刺したあと、蚊取り線香を削った枝先に刺せば完成です。
今回登場したクルマ:フィット
※このコンテンツは、2020年6月の情報をもとに作成しております。