#7
SOLOCAMP STYLE - ソロキャンプスタイル

ソロキャンプ
× サウナ

更新日:2022.11.16
ソロキャンプと一緒に楽しめるアクティビティの魅力を、体当たりで探っていく企画。
1年間365日のうち、180日以上をキャンプ場で過ごすキャンプライターの佐久間亮介さんが、ソロキャンプと組み合わせて、様々なアウトドアアクティビティにチャレンジ。普段は、焚き火をして自然の中でのんびりと自由気ままに過ごすのがスタイルだというハードキャンパーが、ソロキャンプの新境地発掘に挑みます。
「ソロキャンプ」だからこそ、自分の楽しみたいことを我慢せずに、自由気ままに遊べる。
キャンプの楽しさ、遊びの幅が広がる「ソロキャンプ × アクティビティ」をご紹介します。

自然の音に耳をすませ、
深く“ととのう”サウナキャンプ

キャンプ同様、巷で大流行しているサウナ。それをキャンプ場に持ち出して楽しむ遊びがある。
今回、ソロキャンプと組み合わせて楽しむアクティビティは「サウナ」だ。

川や湖の近くにサウナ用テントを張り、薪ストーブを中に入れて薪をくべる。高温になったテントの中で汗をかき、
ときにアロマオイルを入れたりして香りを楽しんだりもする。

十分に汗が出たら、そのまま川や湖へドボン!

火照った身体を天然の水が一気に冷やし、外気浴をして休憩。
この瞬間に訪れる、なんともいえない感覚のことをサウナ界隈では“ととのう”というのだ。

ひとりキャンプ場に行き、テントを張って過ごすソロキャンプは、
自然の中でのんびりと過ごすという意味では、“ととのう”行為であるようにも思える。

そんなソロキャンプと、自然の中で楽しむサウナの組み合わせ。
薪をくべ、芯から身体を温め、自然を目いっぱい感じるキャンプを始めようではないか。

持っていった遊び道具&
ソロキャンプ道具

今回使用したサウナの道具。
市販されているモバイル用サウナを使用。テント本体と薪ストーブ、煙突などアウトドアでサウナが楽しめる道具一式がセットになっていて、ザックに収納できるため持ち運びしやすい。外気浴用のチェアはアウトドア用のリラックスチェアがおすすめ。テント内で座るためのベンチと、足先をオットマンのようにおける小さなチェアがあると身体が冷えにくい。その他、サウナハットは熱から頭を守るため。ポンチョは外気浴の際に着ていると保温性があって快適に休憩できる。香りを楽しむならばオイルや白樺の枝葉を束ねた「ヴィヒタ」を使うのもあり。
積み込んできた主なソロキャンプ道具。
“ととのう”ためのキャンプだから、道具は設営、撤収や扱いがシンプルなものをチョイス。ささっと設営を済ませて、のんびりとした時間をよりたくさん取れるようにした。
今回使用したクルマは、大容量の荷室を備えるフリード。キャンプ道具に加えて、サウナ用テントや大きめのリラックスチェアを積み込んでも余裕がある。2列目シートを倒さなくてもこれだけの荷物を積めるため、ソロキャンプはもちろん、友人らとキャンプやサウナを楽しむこともできるクルマだ。

今回の遊び場

青野原野呂ロッジキャンプ場
神奈川県相模原市にある、道志川に面したキャンプ場。東京都内から約1時間という好アクセスにもかかわらず、滝や飛び込み岩など雄大な自然が楽しめる。キャンプサイトの目の前を流れる道志川は、通称“野呂キャンブルー”と言われ、エメラルドグリーンのような色合いが美しい。水が冷たくてテントサウナを楽しむのにも最適だ。
CHALLENGING

設営&サウナ

キャンプ場に到着したら、早速サウナ用テントを設営する。今回使うサウナは、テント本体と薪ストーブがザックの中に収まっているから持ち出しやすい。一式揃って約13kgと、持ち運びに苦労しない重さだ。
幕体を広げ、2本のポールをスリープに通すとテントが立ち上がる。シンプルな設計だ。
薪ストーブ本体の中に収納されていた煙突や水を溜めるタンクなどを取り出し、組み立てていく。今回使うものは、スチーム式だ。燃焼部の上にタンクを置き、薪ストーブの熱で蒸気を発生させる。
薪ストーブをテント内に入れ、最後に連結させた煙突を薪ストーブと組み合わせる。
次にドアの開閉をしやすくするため、スリープにポールを通してドアに張りを出す。一般的なテントとは異なり、ファスナー式ではないのは開閉の頻度が多いからだろうか。
そして、ガイロープを張っていく。この時、薪ストーブに幕体が接触しないよう必ずペグダウンを行う。最後に、外気の侵入を防いでテント内の温度を保つため、テントの裾に岩を置いておく。
これでサウナ用テントの設営が完了した。一人で設営しても20〜30分程度でできる。外気浴用のチェアをテントの外に設置して、“ととのう”準備は完了だ。
早速、薪に火をつける。細めの針葉樹を燃料にして、一気に火力を高めていく。
煙突から出る煙は、サウナが始まった合図だ。
パチパチと薪が爆ぜる音とともに、テントの中がじんわりと温かくなる。焚き火の熱とは違い、テント全体が熱気で覆われるためか、身体の芯まで温まっている感覚がある。
タンクの中の水が沸騰し始めると、今度は蒸気でテント内の湿度が高くなる。

ストーブの上に白樺の枝葉を束ねたヴィヒタを置いておくと、白樺のスッキリとした香りがテント内に広がり、その香りを嗅ぐと身体全体が緩んでいくのが自覚できる。
その日の気温にもよるけれど、着火して20〜30分程度で身体から汗が流れ始めた。
目を閉じて、薪ストーブの熱を感じる。テントの外を流れる川の水が勢いよく流れていて、その音がいつもよりも大きく聞こえてきた。

柔らかい熱、蒸気、香りのためか、五感が鋭くなり、川の音がよりダイレクトに頭まで届くような感覚だ。
十分に汗をかいたら、テントを飛び出して川へと向かう。
そのまま飛び込み、キリッと冷えた天然の水風呂に身体全体を浸す。冷たい!
キンキンに冷えた水が火照った身体を一気に冷やすことで肌がピリッとする感覚がする。これも五感が鋭くなっているからなのかわからないけれど、芯まで温めた身体を冷やすことでスッキリするのは間違いない。冷たいけれど、それが気持ちいい。サウナはこの瞬間が一番好きかもしれない。
川から上ってポンチョを羽織り、チェアでくつろぎ休憩する。目を閉じ、太陽の光、風を感じて、自然の音に耳をすませていると、ふわふわとした心地よさが訪れる。ここまでくると日常の雑事は一気に吹き飛び、今ここで自然を目いっぱい感じることしかできなくなる。サウナは瞑想の要素も含んでいるそうなので、まさに今のこの感覚がそれなのであろう。
湯を沸かし、ほうじ茶を淹れる。ホッと一息つく瞬間。鼻は依然として敏感なまま。ほうじ茶の香りがまた脳内に染み入る。
そのままうたた寝をしている時間は、まさに非日常の時間。この時間がいつまでも続いてほしいと願った。

“ととのう”キャンプ飯

今日のキャンプ飯は、身体に優しい料理にして、とことん身体をいたわる。生姜をたくさん使った、手羽元のスープを作る。
ダッチオーブンに水と手羽元、長ネギ、スライスした生姜を入れて火にかける。
焚き火にあたりながら、焚き火の熱でコトコトと煮込む。
20分ほど経ったら、鍋の様子をみる。
細切りにした生姜と鶏ガラスープの素、刻んだネギを加え、塩コショウで味を整えたら完成だ。
ほろほろになった手羽元と生姜たっぷりの温かいスープが身も心も温めてくれる。
お腹も満たされたところで、次は焚き火の時間だ。
谷あいにあるキャンプ場だから、日が陰るのがいつもよりも早い。ヒヤッとした風が身体にあたる夕暮れ時。
焚き火とアウトドアでのサウナは、似ているところがある気がする。

薪をくべ、身体を温めるという行為は、焚き火もサウナも同じだけれど、それぞれに身体の温まり方や癒やし効果が違うのがおもしろい。

焚き火はより直線的な熱で皮膚の表面から身体を温め、ゆらめく炎やパチパチとする音は視覚や聴覚的な癒やしを与えてくれる。サウナは芯から身体が温まり、アロマをたけば嗅覚的な癒やしの効果も高いし、川の流れの音がよく聞こえて聴覚が冴えている感覚があった。

種火を作り、薪をくべて暖を取る焚き火はキャンプの醍醐味のひとつだけど、
その延長に、アウトドアでのサウナがある気がした。

焚き火にマンネリ化してきたキャンパーは、
アウトドアでサウナを体験してみてはいかがだろうか。
キャンプ場&遊び場
青野原野呂ロッジキャンプ場
所在地: 〒252-0161 神奈川県相模原市緑区青野原931
https://norolodge.com/
佐久間亮介
佐久間亮介
月間最高80万PVのキャンプブログ「camp-in-japan.com」を運営するブロガー、ライター。
1年中、キャンプにまつわる仕事をしているにも関わらず、ぽっかり休みができるとソロキャンプへ出かけるほどのキャンプ好き。
現在は、キャンプ場の新規開業に向けて準備中。
監修:奥田祐也
今回登場したクルマ:フリード

  • ※このコンテンツは、2022年11月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。