パチパチと薪が爆ぜる音とともに、テントの中がじんわりと温かくなる。焚き火の熱とは違い、テント全体が熱気で覆われるためか、身体の芯まで温まっている感覚がある。
タンクの中の水が沸騰し始めると、今度は蒸気でテント内の湿度が高くなる。
ストーブの上に白樺の枝葉を束ねたヴィヒタを置いておくと、白樺のスッキリとした香りがテント内に広がり、その香りを嗅ぐと身体全体が緩んでいくのが自覚できる。
その日の気温にもよるけれど、着火して20〜30分程度で身体から汗が流れ始めた。
目を閉じて、薪ストーブの熱を感じる。テントの外を流れる川の水が勢いよく流れていて、その音がいつもよりも大きく聞こえてきた。
柔らかい熱、蒸気、香りのためか、五感が鋭くなり、川の音がよりダイレクトに頭まで届くような感覚だ。
十分に汗をかいたら、テントを飛び出して川へと向かう。
そのまま飛び込み、キリッと冷えた天然の水風呂に身体全体を浸す。冷たい!
キンキンに冷えた水が火照った身体を一気に冷やすことで肌がピリッとする感覚がする。これも五感が鋭くなっているからなのかわからないけれど、芯まで温めた身体を冷やすことでスッキリするのは間違いない。冷たいけれど、それが気持ちいい。サウナはこの瞬間が一番好きかもしれない。
川から上ってポンチョを羽織り、チェアでくつろぎ休憩する。目を閉じ、太陽の光、風を感じて、自然の音に耳をすませていると、ふわふわとした心地よさが訪れる。ここまでくると日常の雑事は一気に吹き飛び、今ここで自然を目いっぱい感じることしかできなくなる。サウナは瞑想の要素も含んでいるそうなので、まさに今のこの感覚がそれなのであろう。
湯を沸かし、ほうじ茶を淹れる。ホッと一息つく瞬間。鼻は依然として敏感なまま。ほうじ茶の香りがまた脳内に染み入る。
そのままうたた寝をしている時間は、まさに非日常の時間。この時間がいつまでも続いてほしいと願った。
“ととのう”キャンプ飯
今日のキャンプ飯は、身体に優しい料理にして、とことん身体をいたわる。生姜をたくさん使った、手羽元のスープを作る。
ダッチオーブンに水と手羽元、長ネギ、スライスした生姜を入れて火にかける。
焚き火にあたりながら、焚き火の熱でコトコトと煮込む。
細切りにした生姜と鶏ガラスープの素、刻んだネギを加え、塩コショウで味を整えたら完成だ。
ほろほろになった手羽元と生姜たっぷりの温かいスープが身も心も温めてくれる。