三湖台では富士五湖のうち、西湖と本栖湖、山中湖の3つを見ることができる。キャンプ場がたくさんある西湖を上から見下ろすと、遠くにテントを張ったキャンパーが見えた。
目的地の足和田山の山頂を目指して再び走り始める。
「緩やかな下りを走るのも楽しいですよ。木の根っこを避けながら、滑らないように足を進めていく。自然にできたコースを攻略するような感覚です」
山下さんのいわんとしていることがわかる。まるで忍者になったかのような足さばきをして軽快に進んでいけると、歩いているときとはまた違う感覚が得られるのだ。
トレイルランニング用のシューズはさまざまなアウトドアブランドから出ている。僕が選んだこのシューズはクッション性に優れていて、踏み出すのがとても楽。山道が相手なだけに、走る前はもっと足にくるかと思っていたが、足取りはまだ軽い。
そもそもアスファルトを走るよりも土の上を走ったほうが足の負担が少ないのだそう。自然の中を走って、かつ、足の負担が少ないなんて一石二鳥ではないか。
そして到着した足和田山の山頂、五湖台。
残念ながら富士山は隠れてしまったが、展望台からの景色は清々しいものだった。
休憩中に水分と栄養を補給する。体を動かし、たくさん汗をかいたあとに景色のいいところで飲む水のおいしさたるや。これも都会でのランニングでは得難いものかもしれない。
呼吸を整えたところでスタート地点の紅葉台展望レストハウスへと向かう。
終わってしまうのが惜しい。森の中を走る気持ちよさゆえ、トレイルランニングに病みつきになってしまっている自分がいた。
ギア談義に花が咲く、
グループソロキャンプ
キャンプ場へ移動し、チェックインを済ませてテントを設営する。
今回はソロキャンパー同士がキャンプ場で合流してキャンプを楽しむ、“ソログループキャンプ”だ。僕はクルマで、山下さんはバイクでキャンプ場に来た。
「バイクキャンプだと、運べる荷物に制限があるんですよ。バイクの横幅からはみ出ないよう、収納サイズがおおむね50cm以内になる道具を選びます。だから長いポールなどは持ち込めない。でも、制限があるからこその道具選びもバイクキャンプの楽しみの一つです」
と話す山下さん。
リアボックスの中には、山下さんが何年もかけて取捨選択してきた選りすぐりのキャンプ道具がコンパクトに収納されている。
一方、僕はクルマでのオートキャンプがメイン。ラゲッジのスペースが許す限り、好きなだけ道具を持ち込むことができる。
あれもこれもと持っていって実際は使わなかった、なんてこともよくあることだが、買い集めた好きな道具に囲まれてキャンプをするのも、まるで好きな本や文具に囲まれた書斎や趣味のものを集めたガレージの中にいるような満足感がある。