加圧式の灯油ランタンは、大光量でキャンプサイトをむらなく明るく照らしてくれます。燃料も手に入れやすく、しかもとっても美しいたたずまいで所有欲を満たしてくれます。「扱いが難しい」とも言われますが、ガソリンランタンと大きな違いがあるプロセスは、点火前の増し締め、十分な予熱、そして圧力を抜いて消火することの3つだけ。この3つを押さえておけば、思っている以上に簡単に扱えます。正しい使い方を覚えて、灯油ランタンを使いこなしましょう。
更新日:2017.11.22
加圧式の灯油ランタンは、タンク内に空気を送り込んで圧力をかけてタンク内部の灯油を送り出し、点灯するという仕組み。こう書くと、ホワイトガソリンを用いるランタンと同じ操作だと思うかもしれません。しかし、ガソリンランタンと同じ手順で点火・消火すると炎が高く上がって怖い思いをしてしまいます。それが「扱いが難しい」と言われる由縁です。
ただ、炎が高く上がる原因はわかっています。不完全燃焼なのです。ポイントを押さえればいつでも灯油ランタンのパワフルな光を手に入れることができます。
今回は灯油ランタンの輸入販売を行っているメーカーに、正しい使い方を教えてもらいました。点火前の確認から、給油と加圧、マントルの空焼き、点火、消火まで、各工程ごとに詳しく解説します。
1.ニップルの増し締め
ヘッドカバー(ランタンの一番上にある傘)とすぐ下にある筒状のインナーチムニーをはずすと逆U字型のミキシングチューブが見えます。その脇にあるニッブルをドライバーで増し締めします。一度の燃焼でも、結構ゆるんでいることがあるので、忘れずに確認しましょう。
2.ガスチャンバーとノズルの増し締め
マントルを取り付けるノズルと、その先のガスチャンバーがしっかり閉められていることを確認します。空焼き後はマントルが壊れやすいので、空焼きの前にしっかり手で握って増し締めしましょう。
3.マントルを装着
ノズルの溝に沿うように、マントルのひもを硬く二重結びします。現行の純正マントルはひもが短いのでまず干渉する心配はありませんが、念のためひもを短く切っておきます。あとは、インナーチムニーとヘッドカバーを元通りの位置にセットして準備は完了です。
1.灯油をタンク7分目まで給油
ジョウゴを使って、灯油をタンクに注ぎます。メモリはありませんが、注油口をのぞき、おおよそ7分目まで灯油をいれます。目安は給油口から少し低いところです。
2.グリップホイールを上向きに
グリップホイールに描かれている矢印を上向きになるようにセットします。ちなみに、グリップホイールはバルブの開閉をつかさどるダイヤルです。
3.圧力調整スクリューと予熱バーナーのレバーを確認
注油口の横に、圧力調整スクリューがあります。これが閉じていることを確認します。
同様に、予熱バーナーのレバーがしっかり閉まっている(上がっている)ことも確認しておきます。
4.ポンピング
親指の付け根あたりでポンピングノブを押します。1回押し込むごとにガツッとした手応えと音がありますが、それが正常です。
圧力計の針が赤い目盛りを超えないくらいまでポンピングします。写真はやや加圧しすぎた状態。
1.予熱バーナーのレバーを下げる
予熱バーナーのレバーを手前に下げて、霧が出たらマッチやライターの炎を下部の穴から入れて点火します。
2.予熱バーナーのレバーを元の位置に
炎がマントルに向かって勢いよく吹きつけるので、マントルに燃え移ったことを確認したら、予熱バーナーのレバーを元の位置に戻します。白い灰状になったら、マントルの空焼きが終了です。まれに途中で火が消える場合がありますが、そんなときは慌てずにマッチやライターで再点火しましょう。
1.予熱
予熱バーナーのレバーを手前に下げて、マッチやライターで点火。勢いのいい炎がジェネレーターを熱します。予熱時間は気温などの条件によって異なりますが、90秒以上行いましょう。この予熱時間がとても大事です。意外に待ちきれなく短い時間で済ませてしまいがち。しっかりと予熱時間を取りましょう。
2.グリップホイールを下向きに
90秒以上経過してジェネレーターがあたたまったら、グリップホイールの矢印を下向きにします。これでバルブが開き、マントルが点火します。
3.予熱バーナーのレバーを元の位置に
マントルが点火したことを確認したら、予熱バーナーのレバーを元の位置に戻します。
4.追加ポンピング
予熱や点火によって、タンク内の圧力が下がります。そこで、追加ポンピングが不可欠です。本体が倒れないよう、しっかり支えてポンピングしてください。
1.圧力調整スクリューをゆっくり回す
圧力調整スクリューを反時計回りにゆっくり回して、タンク内の圧力を抜きます。こうすることで、自動的に消火されます。グリップホイールで消火すると、燃料がジェネレーター内に残るので、その次に使うときに炎が大きく立つなどの不具合が生じます。
2.グリップホイールを上向きに
手で触れてもいいくらい本体が冷えたらグリップホイールの矢印を上向きにしてバルブを閉め、続いて圧力調整スクリューを閉めて終了です。
こうしてみると、「点火前の増し締め」、「十分な予熱」、そして「圧力を抜いて消火する」という3つのプロセスが、ガソリンランタンとの大きな違いと言えます。ガソリンランタン歴が長いベテランキャンパーほど、うっかりグリップホイールで消火したり、増し締めを忘れたりするようです。この3つのプロセスはしっかりと押さえておきましょう。
もちろんランタンには個体差があるのでこれだけが不具合の原因ではありませんが、今一度、操作方法を見直せば“扱いにくさ”解消に大いに役立ちます。
協力:スター商事
※このコンテンツは、2017年11月の情報をもとに作成しております。