地面がゴツゴツしていて身体が痛い、地面からの冷えで寒くて眠れない、そんなテントでの睡眠の悩みを軽減してくれるのがスリーピングマット。その種類は「エアマット」「インフレータブルマット」「クローズドセルマット」と大きく3種類に分けられますが、どんな基準で選べば良いのでしょうか? 今回は、それぞれのマットの特徴と長さや厚みなど、選ぶ際のポイントを解説。自分にあった良質のスリーピングマットを用意して、キャンプで質のいい睡眠を手に入れましょう。
更新日:2018.10.24
スリーピングマットは、空気を入れて身体を支える「エアマット」と、内部にスポンジ状のオープンセルフォームが入っていて空気を入れると自動的に膨らむ「インフレータブルマット」、そして、空気をいれる必要がない「クローズドセルマット」に分けられます。
なお、厳密にはパッド(おもにインフレータブル)やベッド(おもにエア)もありますが、ここではマットとしておきます。
●エアマット
空気を入れて厚みをもたせるエアマットは、小さくたためるのが魅力です。写真のように肉抜きがされているものはその代表でしょう。弾力性があるので、フワフワした寝心地が好きな人や、コンパクト収納にこだわる人におすすめです。
デメリットは、破損の危険があることと、大きく分厚いマットほど空気を入れるのが大変なこと。購入時には、空気の入れ方の確認が不可欠です。収納袋が空気入れとして使えるものや、製品によっては電動ポンプが必要なものもあります。
空気を細かく仕切るバッフル(エアーチャンバーとも言います)が細かいほど、保温効果は高めです。ただし、膝や肘などに体重をかけると、床に付いているような感じがします。
●インフレータブルマット
内側にオープンセルフォームが入っていて、クッション性があり、エアマットよりもしっかりと身体を支えてくれます。バルブを開くと自然にフォームが空気を取り込み復元しようとするので、バルブをあけたまま20分ほど放置しておくと8割方空気が入ります。収納サイズも手間も3種類の中で中間。クローズドセルよりやわらかくて、エアマットほどフワフワしない寝心地が好きな人におすすめです。
角を丸く、足下をすぼめているものは、軽量化を考慮したデザイン。女性用とうたっているものは、肩よりも腰あたりに幅を持たせています。
ただし、オープンセルフォームが入っていても、破れると身体を支えてはくれません。また、バルブが小さいと空気を抜くのに時間がかかります。
保温性は厚み、フォームの構造などによって異なります。厚みは3~5cm程度が中心で、厚いほど重くなります。また、エアマット同様、一カ所に体重をかけると底に付く感じがします。
●クローズドセルマット
細かな気泡をもつ素材でできたマット。空気を入れる必要がなく、広げるだけで使えますし、少しくらい破れても使えないことはありません。耐久性は3種類の中でピカイチと言えます。寝心地はそこそこでもいいから、壊れにくさ重視の人向け。また、他の2つのマットのベースレイヤーとして使うのも◎。
身体を載せると内部の小さな気泡がつぶれるので、クッション性と保温性はさほど高くなく、収納サイズも大きいのが難点です。
ひとくちにキャンプといっても、オートキャンプのテント泊なのか、車中泊なのか、それともウルトラライト志向なのか。目的やスタイルによって選ぶべきマットは異なります。
●長さ
長さは180cm程度が主流ですが、長身用の約200cm、ショート丈の100〜120cm、そして枕付きなどがあります。
当然ですが、長いマットは重くなります。普段はオートキャンプだけれど、たまには登山や自転車ツーリングをするような場合は、ショート丈を候補に入れてもいいかもしれません。
●厚み
エアマットの厚みは5〜10cm、インフレータブルマットは3〜5cm、クローズドセルマットは1~2cmが主流です。
エアマットとインフレータブルマットでは、厚みが15cm以上の“ベッド”もあり、大型テントや車中泊で重用されています。ベッドタイプは圧倒的に寝心地がいいのですがかさばることと、子どもがマットの上で跳びはねたりしてバルブへの負担がかかったり、ベッドの下に入った石など異物によって破損するケースが多いので、その都度注意してください。
なお、同じ厚みでもバッフルの形やオープンセルフォームの肉抜きの仕方によって寝心地は変わります。できれば店舗で試しに寝させてもらって、寝心地を確認することが大事です。
●幅
マットの幅はおおむね50〜60cmですが、オートキャンプ用には100cm以上のダブルサイズが用意されています。ダブルサイズはシングル2枚を並べたのと同じサイズですが、寝ている間に隙間に身体が落ちることはないため、ファミリーに人気です。
●滑り止め
せっかく良質のマットでも、テントマットや寝袋との相性次第では、いつの間にか身体がマットから落ちていることがあります。表面に滑りにくい加工を施したり、寝袋の中に差し込んだりするマットも登場しています。
寝袋ほど厳密ではありませんが、マットも暑い時期や寒い時期は使い分けが必要です。ただし、保温性を示すR値は公表されていないマットも多いので、ブランケットを組み合わせたり、エアマットとクローズドセルマットを組み合わせたりして工夫が必要です。また、朝まで心地よい眠りを得るためにも、修理用パッチ、ポンプをお忘れなく。
協力:WILD-1デックス東京ビーチ店
※このコンテンツは、2018年10月の情報をもとに作成しております。