寝袋のメンテナンス、
クローゼットにしまい込む前に
すべきこと

キャンプに欠かせない寝袋ですが、汗とほこり、泥を落とさないまま使っていないでしょうか?毎日使っている布団は布団カバーをかけて定期的に洗っているはず。寝袋も頻度は違いますが、キャンプのたびに付着する皮脂と汗、ほこりで汚れが蓄積しています。放置しておくと衛生的ではない上、保温力低下にもつながるので、クローゼットにしまい込む前にしっかりメンテナンスをしましょう!

更新日:2020.10.21

寝袋の洗濯方法と注意点

人間は一晩でコップ一杯分の汗をかくと言われています。肌寒い時期でも汗をかきますし、キャンプ中はタイミングを逃して入浴できないこともあるでしょう。それに土やほこりにも触れやすく、寝袋は布団以上に汚れやすい環境にあると言えます。

寝袋を汚れたままにしておくと、嫌なにおいが付きますし、カビの温床になりやすいんです。また、皮脂や汗を吸うと羽毛など中綿のふわふわ感が損なわれ、保温力の低下につながります
本来の機能を維持するためにも、シーズンが終わって寝袋を片付ける前に洗濯しましょう。

洗濯前に行う準備
洗剤を用意し、ひどい汚れは予洗い

ダウン専用洗剤(写真左)や中性洗剤を用意します。寝袋によって洗剤、洗濯機対応の可否が異なるので、説明書や洗濯表示を調べましょう。例えば中綿が同じダウンであっても、指定の洗い方以外では生地が傷む、縫い目が広がるなど不具合が出かねません。ひとつずつ確認してから洗濯にとりかかってください。

うっかり付着した泥など、ひどい部分汚れがある場合はあらかじめ汚れを落としておきます。化繊の寝袋の場合は泥汚れに強い洗剤(写真右。ダウンは使用不可)を柔らかなブラシに含ませて汚れを落としておきましょう。ダウンの寝袋の場合は、指定の洗剤のほか、ベンジンをタオルに含ませて拭き取ってもOKです。

中性洗剤を使用する場合は、家庭用のものでも大丈夫ですが、漂白剤や柔軟剤が含まれていないものがベスト。アウトドアウエアの洗濯にも使えるので、ひとつ用意しておくと重宝します。

ファスナー、面テープを閉じる

硬いファスナーや面テープ、スナップポタンなどは洗濯中に生地を傷める危険があります。洗濯する前に必ず閉じておきましょう

傷や破れを補修

もし、傷や破れがあったなら洗濯する前に補修しておきます。透明な補修テープであれば、跡が目立ちません。傷よりもひと回り大きめにカットして、ハサミで角を丸く切っておくと、補修テープが剥がれにくくなります。

洗濯のやり方
洗濯機OKの寝袋の場合

洗濯機で丸洗いできる寝袋であれば、ファスナーや面テープを閉めたら寝袋を丸め、洗濯ネットに入れて洗濯機へ。あとは指定の洗剤を入れて、洗濯機を回すだけ。手間がかかりません。
肌に当たる面が汚れやすいので、寝袋の裏表をひっくり返しておいてもいいですね。また、洗濯コースを設定できる洗濯機の場合は、標準コースやお急ぎコースではなく、やさしくじっくり洗ってくれるコースを選択すると良いでしょう。

縦型洗濯機の場合、空気が抜けずに内側まで洗濯液がしみこみづらい場合があるので、洗濯機を回す前にしっかり浸っているかを確認。もし洗濯液がしみこんでいないようなら、寝袋を押さえるようにして空気を抜いていき、洗濯液に沈めてから洗濯しましょう。
洗濯機が小さい場合は、コインランドリーを利用するのも手です。

手洗いで洗濯する場合

洗濯機での丸洗いができない場合は手洗いとなりますが、寝袋を洗えるほど大きな桶は持っていない、という方が大半でしょう。そこでおすすめなのが、バスタブを洗い桶代わりに使用する方法です。これならかさばる寝袋も難なく収容でき、湯の入れ替えもラクに行えます。
まずバスタブにぬるま湯(湯の温度は、寝袋の洗濯表示の温度に準ずること)を張ります。湯の量は寝袋が浸かればいいので、バスタブいっぱいにする必要はありません。

指定の洗剤を規定量入れて、よく混ぜ合わせておきます。

寝袋をたたみ、空気を抜きながら寝袋全体をぬるま湯に沈めます。

空気が抜けて寝袋がぬるま湯に沈んだら、両足でやさしく踏みます。こすり洗い、もみ洗いではなく、汚れを押し出すイメージです。ぬるま湯がだんだん濁ってくるので、汚れが出ていることを実感できると思います。

足先から頭までまんべんなく踏み洗いできたら、バスタブの栓を抜き、ぬるま湯を流します。寝袋はたっぷりぬるま湯を含んでいますが、絞ってはいけません。無理な力がかからないよう、寝袋をバスタブに置いたまま、端から丸めるようにしてぬるま湯を押し出しましょう。

ある程度ぬるま湯が抜けたら、続いてすすぎ。きれいな水(ぬるま湯でもOK)を張り、踏み洗いと同じ要領でやさしく踏んですすいでいきます。これを水が濁らなくなるまで繰り返しましょう。
水が濁らなくなったら、再度、端から丸めるようにして水を押し出しておきます。

すすぎが終わったら脱水へ。まず浴室の床にすのこを敷きます。その上にタオル→寝袋→タオルと、タオルで寝袋を挟むように重ね、上からやさしく押さえて水分を抜いていきます。

写真のように上からもすのこで押せば、一度に広範囲をやさしく押して脱水できます。
水分たっぷりなので絞りたくなりますが、生地を傷める原因になるので絞ってはいけません。

乾燥のコツ
乾燥は陰干し、ダウンなら乾燥機の併用も

ファスナーを全開にして広げ、なるべく平らにして干します。紫外線は生地や糸を傷める原因になるので、風通しのよい場所で陰干ししましょう。サーキュレーターで風を送りながら室内で乾かしてもいいですね。
ダウン寝袋の場合、ある程度乾いたらダウンの塊を手でもみほぐします。表裏をひっくり返し、2〜3日かけて完全に乾かしてください。なお、ダウンの寝袋は乾燥機OKのものも多いです。乾燥機を使用する場合は、テニスボールや結んだタオルを一緒に入れておくと、ダウンの偏り防止に効果的です。
化繊寝袋は乾燥機使用不可の製品が多いので自然乾燥。ダウンよりも乾きが早く、裏表をひっくり返しながらでも1〜2日で乾燥します。

洗濯完了後のメンテナンス

汚れやすい場所にはっ水剤をかける

首回り、足下など汚れやすい場所にはっ水剤をかけておけば汚れ防止に役立ちます。

タブを付け替える

ファスナーのタブが取れたり破れたりしていたら、新しく付け替えます。手持ちのロープを結ぶだけでもいいですが、写真のような蛍光タイプのタブに付け替えるとタブの位置がわかりやすくなります。

通気性のよい袋に入れて保管

洗濯と補修が済んだら通気性のよい袋に入れて保管。棚の下側は湿気がたまりやすいので、なるべく上に置きます。また、ダウン寝袋は羽毛がつぶれてしまうので、ぎっちり詰め込む携行用の収納袋ではなく、大きめの袋に入れ替え、羽毛をつぶさないよう保管すると寝袋本来の機能を保てます。

手洗いは時間がかかりますし、乾燥機を使えない寝袋は家族人数分を干すためにかなり広い場所を占有してしまいます。一度に全員分を洗うのではなく1日1〜2人分を洗い、数日に分けて洗濯しましょう。
きれいに洗うことで寝袋は本来の機能を発揮しますし、何よりも気持ちがいい!寝袋をしまい込む前に、ぜひ洗濯して新品同様のふわふわ感を復活させてください。

※このコンテンツは、2020年10月の情報をもとに作成しております。