キャンプ道具を長持ちさせる!
自宅でできる
簡単メンテナンスのすすめ

最近は夏だけではなく1年を通してキャンプをする人が増えていて、キャンプ道具の大掃除をするタイミングを逸してしまいがちです。そこで、1年中キャンプを楽しんでいる人は「何か調子が悪い」と感じたら、後回しせずに帰宅後すぐに対処しましょう。今回はナイフやガス器具、ジャグ&クーラーボックス、ファニチャーなど、小型の道具を自宅でサッとできる簡単メンテナンスをご紹介します。

更新日:2020.11.04

長持ちさせて、自分だけの
エイジングされた道具にしよう!

キャンプ道具は使ってなんぼ。少しずつできてくる塗装のかすれや小さなへこみは勲章です。ともあれ、エイジングを積み重ねていくには道具を長持ちさせる必要があり、そのためには日常の軽いメンテナンスが重要です。
軽い汚れの状態のうちに汚れを落とす。小さな不具合を解消する。そして、ちょっとしたひと工夫をすることで、道具は長持ちします。また、そうすることで大きなトラブルを未然に防ぐことができ、自分だけのエイジングされた道具が生まれるんです。
テントなどと比べて脇役になりがちな道具もぜひ日常的にメンテナンスをして、愛着ある道具を増やしていきましょう!

ナイフの手入れ

切れない刃物ほどやっかいなものはありません。ナイフや包丁はキャンプが終わった後に刃を研いでおいて切れ味を維持しましょう。

砥石には番手があり、刃こぼれを修正するための荒砥石、日々のメンテナンス向きの中砥石、ピカピカに磨き上げる仕上げ砥石があります。
キャンプごとに研ぐ日常メンテナンスでは、1000〜2000番の中砥石を用意します。まず、桶に水をため、その中に砥石を入れて水を含ませます。
なお、写真の砥石は一般的なナイフや包丁を研ぐための砥石で、波刃やのこぎりなどは研げません。

写真では砥石を固定できる台の上に乗せていますが、台が無い場合は濡れぞうきんを下に敷けばOK。砥石自体が動かないようにしておきます。

準備ができたら、砥石が乾いていないか確認し、ナイフの刃全体を砥石にペタンと置きます。そこから少しずつ起こしていくと、砥石と刃先(ナイフの刃をよく見ると、端っこ数mmは色が変わっています。ここが刃先で研ぐべき場所)が密着するので、その角度を保ちながら前後にスライドさせましょう。

刃の切っ先と刃元では刃先の角度が違うものがあります。指先の感覚を頼りに、適切な角度で切っ先から刃元まで3〜4エリアに分けて研いでいきます。途中、砥石が乾いたら水をたらしてください。
刃先を均一に研ぎたいので、切っ先を30回研いだら、その隣のエリアを30回……という具合に回数を決めておくと安心です。両刃の場合は反対側も同様に。
切れ味が出たかどうかは、新聞紙を持ち上げ、スパッと切れるかどうかで判断します。

最後にナイフをよく乾かして、オリーブオイルを薄く塗っておくと錆防止になります

のこぎりの手入れ

のこぎりは使っているうちに木のヤニが付着して切れ味が鈍ってしまいます。水洗いではうまく取り除けないので専用洗剤を使います

クリーナーをのこぎり全体に吹きつけます。しばらく放置しておくと、じわりと汚れが浮き出ます。数分たってから布でふきとるだけでヤニを落とせます。

水洗いが終わったら、専用のオイルを噴霧。オイルが水分の下に浸透して水を浮き上がらせるオイルであれば、刃に水分が残っていてもOK。防錆効果抜群です。

ガス器具の確認すべきところ

燃焼系アイテムの主流はガスバーナー、ガスランタンです。OD缶、CB缶ともにガス製品は手軽に扱えますが、メンテナンスフリーというわけではありません。

燃料取り付け口を見てください。長く使っているとOリング(オーリングと呼びます)がよれたり切れたりしていることが!このまま使い続けていると炎上など事故の危険につながります。
各メーカーは取り替え用のOリングを用意しているので付け替えましょう。Oリングの劣化は使用状況や保管状況によるので、年に1度は確認を。2年を超えたら交換を視野にいれるほうがいいですね。

ガス缶にも使用期限があります。メーカーによって異なりますが、OD缶で製造年から2〜3年、CB缶でも6〜7年で使い切ることが推奨されています。
古いガス缶はガス漏れの危険性が高まるため、缶の底などに刻印されている製造年月日を使う前に確認しておきましょう。

また、新しめのガス缶であっても保管場所が悪くてひどい錆が発生している、大きくへこんでいる、ガスのにおいがするようなものは使うべきではありません。開けた屋外で周囲に火種となりそうなものがないことをよく確認した上で、専用のガス抜き器具で中身のガスを抜いてから廃棄しましょう。

汚れがたまりやすいのがゴトクです。食材を扱う道具なので、汚れたままでは不衛生ですのでこまめに洗っておきたいですね。ステンレス製であれば真ちゅうブラシで汚れを落として薄くオイルを塗っておきます。ひどい錆は研磨剤を使って落としてもよし。

汁受けは柔らかな布で水拭き。ひどい汚れは薄めた中性洗剤で拭き取り、洗剤が残らないように何度も水拭きしておきます。もし、ふきこぼれてバーナーの炎口が詰まってしまっていたら、竹串などで軽くつつきながら汚れを取り除いておきましょう。

ジャグ&クーラーボックスの掃除

食品や飲料水を詰めるジャグ、クーラーボックスは清潔第一。日常的に洗って乾燥していると思いますが、2〜3カ月に1度は細部の汚れを落としましょう

ジャグとクーラーボックスはドレン(水抜き穴)や蛇口を分解できるものもあります。

蛇口やドレンを取り外したら、柔らかな歯ブラシを使って汚れを取り除きます。穴の奥のほうに汚れがたまっている場合もあるので忘れずに。水洗いしたらしっかり乾燥させてから元通りに装着します。

嫌なにおいが染みついていたら、アルコール除菌スプレーをひと吹きして、すぐにペーパーや柔らかな布で拭き取ります

ジャグやクーラーボックスに食品や水を入れるととても重くなります。取っ手がぐらつかないか確認し、もしゆるんでいるようなら増し締め。フタと本体をつなぐ蝶番のネジもゆるみがないかチェックしましょう。

ファニチャーの手入れ

テーブルやイスなどのファニチャーはしっかり接続できないと破損の危険が。汚れを落とすだけでなく、接続部に潤滑剤を薄く塗布しておきましょう。

地面に触れる部分は水に浸けてから、固く絞った布で汚れを拭き取って乾燥。樹脂キャップが破損したり紛失したりしている場合は、交換用キャップを用意しているメーカーが多いので問い合わせてください。

ボタンや接続部に汚れがたまっているとファニチャーを組み立てづらくなります。きれいに見えても細かなほこりがまとわりついていることがあるので、乾いた布でよく拭いておきます。最後に潤滑剤を吹きつけます。スプレータイプの潤滑剤はボタンの奥に潜む細かな汚れを吹き飛ばしてくれるという効果も。

潤滑剤はそのままにしておくとかえって汚れがたまる原因になるので、余分なオイルを乾いた布で拭き取っておきましょう

ヒンジなど可動部も忘れず潤滑剤を少量吹きつけて、余分なオイルを拭き取ります。動きが渋いまま使っていると、適切な位置まで開ききらず少しの力で脚がたたまれて倒れてしまうことも。動きがよくなると、素早くきっちり正しい角度に広げられますよ。

コードでつながっていて小さくたためるファニチャーは、長く使っているとコードがびろびろに伸びて扱いづらくなります。そんな時は伸びたコードを交換します。同じ太さのコードを手に入れたら、古いコードの端を片側切断。切断した古いコードと新しいコードを結びつけ、反対側から古いコードを引っ張って新しいコードを通します。あとは新しいコードを適切な長さに切って結ぶだけ。
写真はコードの端が開かないよう、火で端を熱してコード本体にくっつけています。簡単ですが、やけどには気をつけてください。

生地は汚れが気になりますが、丸洗いによって生地が縮むなど不具合が生じることがあるので製品の説明書を確認。わからない場合は、硬く絞った布で水拭きをして陰干しするのが無難です。
ひどい汚れは裏側に乾いたタオルを当てて部分洗い。薄めた中性洗剤+重曹を含んだタオルで表側からたたいて裏のタオルに汚れを移します。中性洗剤+重曹が基本ですが、汚れによっては酸素系漂白剤、ベンジンが有効です。汚れが落ちたら水拭きをして洗剤をよく落とし、陰干ししましょう。

LEDライトは電池を抜いて保管

せっかくだから「いざというときに備えよう」とライトやラジオに乾電池を入れたまま保管していないでしょうか?
ライトなどに乾電池を入れっぱなしにしておくと、電池が液漏れして肝心の時に使えなくなってしまうことも。

面倒かもしれませんが、乾電池を抜いて保管しましょう。抜いた乾電池は使用機器と同じ場所に保管しておけば、いざというときも安心です。
モバイルバッテリーやポータブル電源を保管する場合は、満充電の50〜70%の状態に。満充電や0%での長期保管は劣化の原因になるので注意しましょう。

最後になりますが、キャンプ道具に錆加工を施す人が最近多く見受けられます。とてもカッコいいのですが、この錆加工は本当の錆ではなく、キャンプ道具を使いこなしたエイジングとは別物です。手入れ不足で生じた錆は劣化を早める原因になることもあります。汚れを落としながら、自分だけの真のエイジングを目指していきましょう。

※このコンテンツは、2020年11月の情報をもとに作成しております。