キャンプの明かりの主役がLEDランタンとなった今日であっても、根強い人気を誇るのがガソリンランタンとオイルランタン。低温下でも安定した火力で周囲を照らしてくれる安定性に加え、自分の手でこまめに手入れをすれば、何十年も使うことができる点も根強い人気の理由のひとつ。今回は、いつかは手にしたいと考えている人も必見!長く使うために実践したい、ガソリンランタン&オイルランタンの日常メンテナンスをご紹介します。
更新日:2021.02.17
ガスランタンもLEDランタンもスイッチひとつで点火できるので、キャンプビギナーも安心して使える優れもの。日常の手入れといえば、ガスランタンはOリングの交換、LEDランタンは電池の液漏れがないか、接点が汚れていないかを確認するくらいで、ほぼメンテナンスフリーです。
ところが、寒い時期のキャンプではLEDランタンは電池の持ちが不安ですし、ガスもドロップダウン(ボンベ内の燃料が気化しづらくなり、火力が弱くなる現象)の心配があります。
その点、ガソリンランタンとオイルランタンは、低温でも安定して使えます。また、手入れさえすれば何十年も使うことができる点も根強い人気を誇る理由のひとつ。10年、20年使うのは当たり前、50年前のものでも手入れを行えば問題なく使えるんです。
それに、日本で販売されているガソリンランタン、オイルランタンのメーカーは歴史が長く、基本構造に大きな変更がないため、よほどのビンテージでもない限り、交換パーツが豊富。パーツさえ手に入れば、自分で手入れできることも道具好きの心をくすぐります。
ガソリンランタンの手入れの基本は、可動部のオイルアップと消耗品の交換です。
日常メンテナンスではこれらを目安に準備しておきましょう。
専用の残ガソリン抜き取りポンプをタンクに取り付け、ポンピングノブを抜き差しすることで、タンク内の燃料を携行缶に戻すことができます。メンテナンスの前、そして長期保管の前には必ず燃料を抜き取っておきます。
潤滑油をさしてポンピングをしてもスカスカするようになったら、ポンプカップの交換時期です。
ポンピングノブのワイヤーを取り外し、ワイヤーが付いていた部分を回して、引き抜きます。
ポンピングノブの先にはポンプカップとプッシュオンナットという円盤状のパーツが付いています。ナットはちょっと変わった形をしていますが、プライヤーでつかんで力を込めれば外れます。
新しいポンプカップ、プッシュオンナットの順番に取り付けて、元通りにタンクに取り付けます。
ちなみに、ポンプノブの奥にはチェックバルブが付いています。これを取り外すのはマイナスドライバーではなく、専用のチェックバルブレンチが必要です。タンク内の加圧した空気が逆流しないようにするもので、ポンプカップを交換しても不具合が続くようならこちらを交換。
元通りにポンプノブを取り付けたら、最後に潤滑油を「OIL」と書かれている穴から2〜3滴たらして終了。潤滑油がタンクにたれてしまったら、きちんと拭き取っておきましょう。
燃料タンクのキャップにはゴムのパッキンが付いています。加圧しても圧が漏れているとしたら、ゴムパッキンの劣化を疑ってください。
その際はパッキンを交換するか、キャップごと新しいものに交換しましょう。
ジェネレーターが熱せられることで、ジェネレーター内に流れ込んだ燃料が気化します。つまり、ジェネレーターはマントルに気化燃料を送り込む大切な装置です。安定した光が得られないときは、この部分にススが溜まったり曲がったりしているかもしれません。
写真中央はジェネレーター全体がゆがんでいますし、右側はススで詰まっています。こうなったら新品のジェネレーターに取り替えるしかありません。
ボールナットをゆるめ、ベンチレーター(傘の部分)を取り外します。
グローブを取り外します。ついでに柔らかい布で汚れを拭き取っておきましょう。
写真は現行モデルとは少し違います。バーナーアッシーなど作業のジャマになりそうなものを取り外したら、ジェネレーターの根本にあるナットをゆるめます。現行モデルは付け根に円盤状のパーツ(ヒートシールド)が付いていて、ナットが見えなくなっているので、ヒートシールドを取り外して作業します。
写真右のツマミを上向き(現行モデルは燃料バルブをオフ)にしてジェネレーターを持ち上げると、内側にあるクリーニングロッドの先端がフック状になっていて穴(エキセントリックブロック)に引っかかっていることがわかります。フックを穴から外してジェネレーターを取り外しましょう。エキセントリックブロックは片側が削れた形で、ジェネレーターは削れた方から引っ掛けていることを覚えておきます。
新品のジェネレーターに交換します。エキセントリックブロックに新しいジェネレーターを引っ掛けたら、ツマミを下向きに(現行モデルは燃料バルブをハイにする)して元通りに取り付けましょう。
ちなみにジェネレーターの内側にはこんな細い針が入っていて、この針が出たり入ったりして燃料の量を調整するそう。純正の燃料を使うことで、詰まりを低減するのでジェネレーター由来のトラブルを抑えられます。
ハリケーンランタンと呼ばれるオイルランタンは、芯がなくなったら使えません。日常の手入れは、芯のカット・交換くらいで大丈夫です。
芯の先端の黒い部分が長くなると、炎が二股に分かれることが。そうなったら、焦げた部分をまっすぐに切りそろえるだけでOK。
芯が短くなったら、交換します。ハンドルとリングを掴むようにするとランタン上部が持ち上がるので、グローブのロックが外れます。
グローブを斜めに倒して取り外します。割れないように落ち着いて作業しましょう。グローブが汚れていたら、取り外し、柔らかい布で拭き取っておくといいですね。
芯を取り付けているパーツは、タンクの爪に引っ掛けているだけです。ツマミを持ちながら横にスライドさせます。
芯ごと真上に持ち上げましょう。ちなみに、ツマミを回しすぎてタンクの中に芯が落ちることがあります。そんなときも、同じ手順で取り外せば中に落ちた芯を救出できます。
ツマミを回して古い芯を取り除き、新しい芯を差し込みます。狭い溝なので大変に思えますが、内側にギザギザの歯がありツマミを回すことで芯がうまく繰り出されます。あとは反対の手順でランタンに取り付けるだけ。簡単です。
手入れが難しいと思われがちなガソリンランタンとオイルランタンですが、実際はさほど難しくなく、慣れれば簡単に行えます。交換パーツさえあれば長く使えるアイテムなので、大切にするあまりしまい込んで眺めるのではなく、ちょくちょく使って手入れをし、使える状態を保ち続けてあげましょう。そうすれば、次世代へ受け継ぐのも夢ではありませんよ。
※このコンテンツは、2021年2月の情報をもとに作成しております。