今や焚き火を楽しむ上でのマナーとなりつつあるのが、焚き火台の下に敷く「焚き火シート(耐火シートや焚き火スタンド)」。今回はその種類や選ぶ際のポイント、使用時の注意点などを解説します。キャンプの楽しみのひとつである焚き火ですが、不用意に焚き火をすると、人と自然を傷つける危険があります。いつまでも焚き火を楽しめるように、焚き火シートを使って安全にも自然にも配慮して楽しみましょう!
更新日:2021.05.12
焚き火台は地面に直接薪を置くわけではありませんが、燃えている薪が折れて焚き火台の外にこぼれ落ちることや、BBQの炭を散らそうとして地面に飛び出すことがゼロではありません。それに薪が落ちなくても、周囲に少なからず火の粉が飛び散ることがあります。
燃えた薪や炭、そして火の粉によって、万一、枯れ草や落ち葉、そのほか周囲にあるものに燃え移ると大変なことになりますよね。そこで、燃え広がりにくい焚き火シートや焚き火スタンドを敷くことで、わずかでもリスクを減らそうというわけです。また、それらによる地面へのダメージも減らすことができます。
焚き火シートとして販売されているものは、主にシリコンコーティングされたファイバーグラス(ファイバーグラスから不純物を除去したシリカ繊維もあります)か、カーボンフェルトを採用していて、これらは火の粉や燃えた薪・炭が触れても燃え上がることはありません。
キャンプメーカーが販売するもののほかに、スパッタシートという溶接で使うシートを焚き火台の下に敷いているキャンパーも多く見かけます。
これらの耐火シートは燃え上がらず、枯れ草などへ燃え移るのを防ぎますが、必ずしも熱が伝わらないという断熱効果があるとは限りません。焚き火シートを敷いていても草地に茶色い焦げ跡が残ることがあるので、綿やアルミなどと組み合わせた断熱効果を高めた焚き火シートを使ったり、断熱効果の低いシートを使う際は2枚重ねで使ったりして、地面に熱が伝わりにくくなるようにしましょう。
小型の焚き火台を載せるステンレスの焚き火スタンドなんていうものもあります。脚付きなら断熱効果も万全です。
●「ファイバーグラス」は手間なく手軽に使いたい方におすすめ!
ガラス繊維で火の粉を弾きます。灰がこぼれ落ちても、最後にシートに載った灰を灰捨場で振り払うだけできれいに落ち、車内や自宅を汚しません。手間なく手軽に使いたい方におすすめです。
シリコンコーティングを施していても、畳んで・広げてを繰り返すうちに繊維の破片が肌にチクチク刺さることと、あまりコンパクトに畳めないのが難点。
また、購入する際は縫い糸の素材に注意が必要です。周囲はほつれないよう折り返して処理をしてありますが、縫い糸も難燃性素材のものを使っていることを確認しておきましょう。正直、単独では断熱性が今ひとつなのですが、最近は異素材と組み合わせて断熱性を高めた製品も登場しています。
●「カーボンフェルト」は使い勝手を重視する方におすすめ!
高温処理した耐火フェルトです。毛布のようにやわらかく、コンパクトに畳めてチクチクもしません。ふわふわして頼りなく思えますが、耐火性は万全です。水を含ませて使うなんてことも可能。使い勝手を重視する方におすすめです。
ただし、汚れがつきやすく、少し払っただけでは灰も枯れ草もしがみついたままなのが気になるところです。
●焚き火台が小型なら「金属製のスタンド」がおすすめ!
ソロ用など小さめの焚き火台なら金属製のスタンドを使うのも手。ステンレスなどの焚き火スタンドは、燃えませんし、脚のおかげで地面に熱が伝わることもありません。サッと雑巾などで拭くだけで汚れが落ち、いつまでもきれい。安定感もあります。焚き火をしないときは、小物置き場として活用してもいいでしょう。
ただし、重くてかさばるのが難点。
手のひらサイズの小型焚き火台であれば、熱いダッチオーブンなどを載せられる焚き火テーブルでもいいですね。ただし、メッシュ状のものではなく、写真のように薪や炭が落ちないプレートタイプの天板に限ります。
●必要な大きさは焚き火台の4倍くらい
焚き火台の真下にだけ耐火シートがあればいいというわけではありません。
火の粉は思わぬところに飛ぶし、薪がこぼれ落ちて転がるかもしれません。シートやスタンドは、焚き火台の3〜4倍の広さはほしいところです。
●組み合わせて使う
先述しましたが、焚き火シートは難燃素材でできていますが、断熱性が低いものがあります。ウッドデッキや草地で焚き火をするなら、カーボンフェルトとファイバーグラスを重ねるなど工夫が必要です。
大きな焚き火シートであれば、2~4つに畳むことで断熱性を高められます。卓上グリルを使うときに、畳んだ焚き火シートをテーブルに敷いておくとより安全ですね。
●四隅を固定する
使用時は、シートごと焚き火台をひっくり返さないよう気をつけましょう。
風が強い日は焚き火をすること自体がNGなので、シートが風に煽られる心配をする必要はあまりありませんが、歩いているときに焚き火シートの端に足を引っ掛けて転ぶ、テーブルなどを動かした拍子にテーブルの脚がシートに引っかかってズレる、なんてことは起こり得るトラブル。
シートの四隅をペグや石で固定しておきましょう。
●焚付や薪の保管にも活躍
焚き火シートを敷いておくことで焚き火後の後片付けが楽になることもメリットといえます。灰がこぼれ落ちていてもシートに載せたまま灰捨場に持って行って払えば良いので、最後に細かな灰を拾い集める手間がかかりません。
ちなみに、焚き火をしないときは、薪や焚付を載せておけば地面からの湿気の影響を受けにくく、良い状態にキープできます。また、薪を焚き火シートで巻いて保管すれば、車内を汚さずに済むので便利です。
火災予防に効果を発揮する焚き火シート&スタンドですが、例えこれらを使っていても焚き火を楽しむ上での注意事項は変わりません。
焚き火の熱は思いのほか高く上がりますし、火の粉は遠くまで飛びます。木の下や根のそば、テントやタープ、クルマのすぐそばでの焚き火は避けましょう。また、そばに燃料や電池、枯れ草など燃えやすいものがないことも確認してください。同時に、水と火消しつぼの用意もお忘れなく。
焚き火シート&スタンドを過信することなく、安全に焚き火を楽しみましょう。
※このコンテンツは、2021年5月の情報をもとに作成しております。