さまざまな種類があるノコギリですが、キャンプでは折りたたんで持ち運べる「折込ノコギリ」が便利です。この記事では、その種類や選ぶ際のポイントをはじめ、楽に木を切断する方法、メンテナンス方法など、折込ノコギリを使いこなすコツをご紹介します。ノコギリはナタやオノ、ナイフと並びキャンプで活躍する刃物。適正なノコギリを選び、正しい使い方を知れば、キャンプライフが大きく広がります!
更新日:2021.11.10
子どもの頃、工作で使ってきたので身近に思えるノコギリですが、ホームセンターに行くと両側に三角の刃が並んだノコギリ、刃の幅が非常に細かいノコギリ、折りたためるノコギリ(=折込ノコギリ)など、実にさまざまな種類があってどれを選べばいいのか迷ってしまいます。
まずは薪を切断する、ちょっとしたクラフトワークに使うなど、キャンプで活躍するノコギリを知りましょう。
キャンプに便利なノコギリは、ケース不要でコンパクトに持ち運べる折込ノコギリ。そして、薪の直径の2〜3倍が、使いやすいノコギリの長さ(刃渡り)の目安となります。
市販の薪は直径7〜8cm程度なので、刃渡り25cm程度のものが使いやすいでしょう。クルマを横付けできないキャンプ場にも行くなら、持ち歩き重視で刃渡り15〜20cmほどの少し短めを用意するのもいいですね。
●クラフトワークにも使うならピッチが小さくアサリなしの刃
刃と刃の間をピッチと言います。ピッチが大きい(粗目)ほど素早く木を切断でき、ピッチが小さい(細目)と切断面が美しいのが特徴で、クラフトには細目が向いています。なお、細目は竹を切るのにも向いているので、薪の切断がメイン用途ながら竹を使ったクラフトもやってみたいというなら、間をとって中間のピッチを選ぶといいでしょう。
また、ノコギリには「アサリ」があるものとないものがあります。アサリとは刃が外側に広がることで木くずが詰まらず、スムーズにひけるというもの。アサリありのノコギリはザクザク切れますが、切断面が荒い傾向があります。
薪に用いるなら切断面が荒くても問題ありませんが、最近はアサリなしでもスムーズにひけて切断面が美しい刃が登場しているので、クラフトワークにも使うならこうした刃を選ぶといいですね。
●素早く切断するなら粗目のカーブソー
ノコギリの刃の形状には、よく見慣れた刃がまっすぐのもののほか、弧を描いているものもあります。刃が弧を描いた形状のノコギリをカーブソーと言い、同じようにひいても自然に刃が木に食い込んで楽に切断できるという特徴があります。
粗目のカーブソー(写真左)と細目でストレートのノコギリ(写真右)を同じ回数ひいてみたところ、わずかですがカーブソーのほうが深くひけていることがわかります。この場合はピッチの違いにも関係しますが、この後にストレートの刃に付け替えて切ってみたところ、明らかにカーブソーの方が楽に切り進められました。
断面の美しさを求めないのであれば、素早く楽に切断できる粗目のカーブソーがおすすめです。
●マルチツールも刃に注意!
マルチツールのノコギリ(刃の長さ7cm程度)であれば直径2〜3cm程度の小枝に対応します。マルチツールのような短いノコギリは、ストロークが短いので小回りが効くというメリットがあります。
ちなみに、写真はどちらもマルチツールの刃で、左がノコギリ、右はノコギリではなく波刃です。
よく見ると、ノコギリのほうは三角の刃が左右に並んでいます。刃の形によって「タテ挽き目」「ヨコ挽き目」「イバラ目」があり、これはイバラ目。イバラ目は木の繊維に対して縦にも横にもひける混合型で、剪定用のノコギリに使われることが多く、クラフトや薪を切るのにも適しています。
一方、波刃はよく似ていますが、片側にだけ刃がついています。こちらは滑りやすいロープの切断やパンを切るのに向いています。
自分のキャンプでどんなノコギリが適しているかわかれば、次は使い方です。手入れとともに、安全で楽に木を切断するコツを知りましょう。
ノコギリを使うときは、レザーグローブ(なければ軍手を重ねる)を着用します。薪を支える手だけでもはめておきましょう。
枕木に切断したい薪や枝を載せ、足または手でしっかり固定します。
ノコギリを当てるのは枕木のすぐそばで、足とは反対の木が浮いている側。写真くらいの小枝であればさほど問題ありませんが、枕木より足側にノコギリを当てると、切り進むうちに切り口が詰まってひきにくくなります。
反対に、浮いている側をひくと、薪自体の重みで切り口が開き、刃の動きを妨げません。
写真のような角がある薪であれば、尖った部分から切りはじめ、ある程度刃が入ったら薪の角度を変え、また尖った部分を切り進めます。こうすることで太い薪でも抵抗が少なく、楽に切断できるんです。
最初のきっかけづくりは軽く押して浅い切れ目を入れますが、その後は、軽くノコギリのハンドルを握ったら少しだけ下に抑えるようにして大きく刃を引きます。大きなストロークで引いて切るのが楽に切断するコツ。押すときには力を加える必要はありません。
なお、大半の剪定用折込ノコギリは引いて切るものですが、海外ブランドのものなどは注意が必要です。
刃に松脂がべっとりついてしまうと扱いづらくなってしまいます。
そんなときはヤニ取り剤で松脂を分解して除去。また、濡れたままでは錆びやすくなるので防錆・潤滑油で手入れすることも忘れずに。
折込ノコギリの多くは替刃式になっています。長く使って刃がたわんでしまった、どうにも切れ味が悪くなったときは、刃だけを交換できるわけです。無駄がありません。
メーカーによってはピッチ違いの刃だけでなく、カーブ刃とストレート刃を選べる場合も。異なる刃を用意すれば、使い慣れたひとつのハンドルに刃を付け替えるだけで使えるので、持ち運びやすく、それでいていろいろな用途に対応できて便利です。
折込ノコギリはナタやオノ、ナイフと並びキャンプで活躍する刃物です。
ワンコイン以下の安価なノコギリもありますが、少し値が張っても切れ味のよいノコギリは使っているときにストレスを感じませんし、耐久性もよくて買い替え頻度が少なくて済みます。
適正なノコギリを選び、正しい使い方を知ればキャンプライフが大きく広がりますよ。
取材協力:PICA相模湖 https://www.pica-resort.jp/sagamiko/
※このコンテンツは、2021年11月の情報をもとに作成しております。