小学校の林間学校などでよく使われる、そら豆型の兵式飯盒に苦手意識はないでしょうか。焚き火での火加減がうまくできず、焦げ付くことがあるし、反対に上のほうの米に芯が残ることも。そんな初心者には難しい兵式飯盒ですが、同じそら豆型でも薄型の2型と言われる飯盒であれば、ナカゴを利用することで焦げ付かずにふっくらおいしいご飯を炊けると話題です。今回は、いま話題の炊き方、「水蒸気炊飯」の手順とポイントをご紹介します。
更新日:2022.09.07
学校キャンプで使われるそら豆型の兵式飯盒は4合炊きですが、いま話題の“水蒸気炊飯”は「戦闘飯盒2型」「山岳飯盒2型」という2合炊きのものを使います。
もともと自衛隊官給品であった飯盒をベースにしています。学校キャンプで使われる4合炊きの兵式飯盒との違いは容量だけではありません。
本体とナカゴ(中ブタ)、食器やフライパンとして使えるフタという構成です。いくつかのメーカーより「戦闘飯盒2型」、「山岳飯盒2型」という名前で販売されていますが、基本構成は同じ。
ポイントはナカゴです。ナカゴの一部に穴が開いていて、本体からの蒸気が上がるようになっています。
ナカゴの穴のおかげで、本体で湯を沸かせば蒸し物ができるし、本体で汁物・ナカゴで炊飯という同時調理だって可能。蒸気が上がってくるので米もふっくら炊き上がります。
背が低く、底まで手が届くので隅々まで洗いやすい。これも大きなメリットです。
一方、素材は4合炊きと同じアルミ製。底も4合炊きと同じで平らになっていますが、熱伝導率が高いのでムラなく全体に熱が行き渡ります。
飯盒2型は2合炊きですが、煮込み料理との同時炊飯ではナカゴに米を入れて炊くので最大1合。飯盒2型がソロやデュオにちょうどいいと言われるのはこのためです。
もちろん、本体で炊飯、ナカゴで蒸し物やソースを作るなんてことも可能ですが、今回は主食となるごはんをいかに焦げ付かずふっくら炊き上げるかが主題。ナカゴでご飯を炊く水蒸気炊飯の手順を見ていきましょう。
1. ナカゴに米を入れ、本体の準備をする
ナカゴに米を入れます。米1合はおおよそナカゴのラインのあたり。
当然ですが、二段同時調理では直接火にかけるよりも、上段(ナカゴ)の水が沸くまでに時間がかかります。
そのため下段(本体)では水分をたっぷり使う汁物がベスト。レトルト食品やインスタントスープ用の湯沸かし、ゆで卵を作るなんていう使い方でもOKです。
2.米を水に約30分浸す
本体に調味料や食材などをすべて入れたら、米を入れたナカゴを載せ、水を入れて約30分。十分米が水を含んでからフタをし、火にかけます。このあたりは鍋での炊飯と同じです。
3.湯気が出るまでは強火
沸騰するまで強火にかけます。フタがしっかり閉まっているため、水蒸気が大量に噴き出すなんてことはありません。火にかけてから3〜4分は様子をよく見ておきましょう。
4.湯気が出はじめたら弱火に変えて12〜15分
フタの隙間から湯気が出はじめたら薪や炭を散らし、弱火に変えて12〜15分。通常の鍋で1合炊く場合は10分ほどなので少し長めです。
5.火から下ろして15分ほど蒸らす
炊き上がったら火から下ろし、15分ほどフタを閉めたまま蒸らして完成。べたつかず、かといって硬くもなくふっくら。熱源から離れているので焦げとは無縁です。
フタのハンドルをナカゴの穴に引っかければ、このように片手で同時に持てます。食器としても優秀ですね。
本体での煮物が一部焦げ付きそう、または本体で2合を炊くのが不安なら、手持ちの鉄板に載せるという手も。焚き火とは違い均一に蓄熱されているので、飯盒の底にも熱ムラが生じにくくなります。
飯盒2型を使った同時炊飯は、焚き火で調理する難しさを払拭できます。時間をかけて沸騰に達することも米の甘味を引き出し、おいしくなる理由。一度お試しあれ。
焚き火での炊飯は水加減と火加減がポイント!
→ キャンプでご飯をおいしく炊くコツ
撮影協力:エバニュー http://evernew-product.net/
※このコンテンツは、2022年9月の情報をもとに作成しております。