テントにはいろいろなタイプがありますが、2ルームテントはファミリーキャンプの主流ともいえるスタイルです。1度の設営で寝室とリビングのレイアウトが決まりますし、パネル類を全部閉じれば朝夕の冷え込みを遮断できるうえ、プライベートを確保できるのが人気の理由。快適空間を生む優れものである一方、奥行きが長いため設営には注意が必要で、最初に前後の向きを間違えてしまうと直すのに大変な手間がかかります。そこで今回は2ルームテントの基本のたて方や撤収、使い方のコツをご紹介します。
更新日:2023.03.22
リビングとして使える大型前室をもつ2ルームテントは快適空間を生む優れものですが、奥行きが長く、設営中に「前後を間違えた!」と回転させるのは大変な手間がかかります。家族総出で四角(よすみ)を持って回転させるのが安全ですが、少し風があるとあおられて破損や、ほかのキャンパーに迷惑をかける危険もあります。
すべてのキャンプ用品に言えることですが、まずはできあがりのイメージを知ることが大切。フレームの交差の仕方、前後ドアの形などを確認してから組み立てに取りかかりましょう。
1.パーツが全部そろっていることを確かめて作業スタート
インナーテントとフライシート、フレームのほかに張り綱、自在金具など付属品がそろっていることを確認します。いつも使っているテントであっても、前回のキャンプが悪天候だった場合など、ドタバタのなかで撤収すると何かがなくなっているかもしれません。
また、買ったばかりのテントでも道具が不足していたり、付属品が破損しているということがゼロではありません。できればどこかで試し張りをしておくと安心です。
付属のペグとハンマーでもいいですが、硬い地面には不向きなものが多いですし、プラスチックのペグはプラスチックやゴムのハンマーを使うので地面に打ち込むにも時間がかかります。
どんな地面でも素早く、確実に設営できるよう強固なペグとハンマーを用意しておきましょう。
ペグの選び方はこちら
→ 付属ペグに追加するペグの選び方
2.フレームを分類して確実に伸ばす
フレームを長さ、形状ごとに分類し、踏みつけない場所に置いておきます。
写真のように色分けされていると見分けがつきやすいですが、目印がないものは長さ、直線か曲線があるか、太さなどから種類を分けましょう。次回の設営に迷わないよう、油性マジックなどで印を付けてもいいですね。
フレームを伸ばすときは確実に奥まで差し込むことも忘れずに。
3.フライシートを広げて前後をチェック
サイトにフライシートを広げます。この段階で前後をしっかり確認します。
前後対称デザインなら迷わずにすみますが、そうでない場合は完成形をイメージし、フレームを通すスリーブやフックの伸び方、ロゴやマーク、ベンチレーターの位置で判断しましょう。
チェックするポイント
●ドアパネル
3方向にドアパネルが付いているのがリビング部分
●ファスナー
前ドアは跳ね上げられるようファスナーが2本・後ろドアは左右に巻き上げるようファスナー1本
●ベンチレーター
下部ベンチレーターが付いているのは寝室側
例外もありますが、このあたりをチェックすれば初見の2ルームテントでも判断できます。
4.フレームとフライシートを組み合わせる
ドームテント同様にインナーテントにフレームを通し、その上にフライシートを被せるものもありますが、最近の主流はフライシートを先にたてて、後からインナーテントを取り付けるタイプ。
今回はインナーテントが後付のタイプについての手順の説明となります。
フライシートを後からかけるモデルについてはドームテントのたて方を参照してください。
ドームテントのたて方はこちら
→ 機能が活きるテントの張り方
フレームをスリーブに通し、フレームの端を鳩目やクリップに挿します。このときフライシートが片寄ったまま挿すとフレームが破損する危険があります。片手でフライシートをたぐりよせ、フライシートがバランスよく立ち上がってから鳩目やクリップに挿しましょう。
すべてのスリーブにフレームを通してから、フックを上から順番に引っかけます。
フレームの色と差し込み位置の色がそろえられているものは迷いませんが、色分けされていない場合は、スリーブやフックの軌跡から長さを判断するしかありません。
不安な人は、紙の説明書またはダウンロードした説明動画を用意しておきましょう。
5.ペグと張り綱で固定
※数字は固定する順番のイメージ
風上側の一辺(リビングまたは寝室のドアがある辺)を固定し、その後、四角をしっかりペグで固定します。リビングの両サイドを固定したあと、寝室側も仕上げていきます。
四角の張り綱はそれぞれ斜め前(外側)に向けて引っ張り、サイドは真横に張ります。
製品によってはフレームと同じ方向やフレームの前方向に張り綱を引っ張る方がいいものもあるので説明書を確認。説明書が手元にない場合は、フライシートにシワができないか、フレームが安定するか(ブレないか)で判断します。
6.インナーテントを吊して完成
インナーテントを取り付けて完成です。
2ルームテントはリビングと寝室が一体化されるのであたたかく過ごせますが、閉じたまま過ごしていると湿気がたまる一方。リビングも寝室も上下のベンチレーターを使って空気を循環させて少しでも結露を低減させます。
リビング部分をメッシュにすると開放感抜群ですし、風が通りぬけて爽快。
土埃が気になるときは、風下だけメッシュパネルに。これはタープではできない技です。
テント内の光はLEDランタン一択です。高い位置から広範囲を照らすのがベストですが、フックがないテントもあるでしょう。
そんなときのためにマグネットで取り付けられるLEDランタンがあると重宝します。
ペットといっしょのキャンプなら、インナーテントを取り外してコットで眠るという手もあります。これなら眠るときにいちいち足を拭かなくてもいっしょの空間で眠れます。ただ、インナーテントで過ごすよりもどうしても肌寒く感じるので、断熱性のあるマットを併用するなど工夫が必要です。
4〜5人利用を想定した2ルームテントが多いのですが、ソロキャンプやデュオキャンプにも使えます。そのままインナーテントを使うと、時期によっては広すぎて寒々しく感じることも。
小型テントを設置するカンガルースタイルにすると落ち着きますよ。
カンガルースタイルとは?
→ 話題のカンガルースタイルのメリットをチェック!
大型の2ルームテントですが、撤収時におさえるポイントはドームテントと同じです。
よく乾いていることを確認したら、フライシートのファスナーをすべて閉じ、ベンチレーターの支えをたたんでから撤収作業に入ります。
フレームは端から折りたたむのではなく、半分ずつ折りたたむと中に入っているコードへの負担が抑えられていい状態で保管できます。
ペグとハンマー、張り綱の数もよく確認しておきましょう。
フライシートは半分にたたんでから、両側の三角部分を折りたたんで長方形を作ります。このとき、空気が抜けるよう裾部分は折りません。
あとはフレームの収納袋と同じ長さになるまで同様に両側から内側に向かってたたみます。
インナーテントはドアのファスナーを開いた状態で、同じく収納袋と同じくらいの長さになるまでたたみます。
インナーテントとフライシートを重ね、フレームの収納袋を芯にして巻き上げれば、テントが入っていた収納袋におさまります。付属品も忘れずに袋に入れれば撤収完了。
大きくてフレームの数も多い2ルームテントですが、ポイントを押さえれば設営・撤収の手間はドームテントとほぼ同じ。それでいて快適に過ごせます。たまに行くソロ&デュオキャンプでも重宝しますよ。
キャンプの2大スタイル!どちらがいいの?
→ 「2ルームテント」と「シェルター+テント」の使い勝手の違い
取材協力:キャプテンスタッグ https://www.captainstag.net/
※このコンテンツは、2023年03月の情報をもとに作成しております。