薪割りに使う道具は
斧・鉈・ナイフ、どれがいい?
薪割りのコツも!

薪割りというと両手で斧を振り上げ、丸太を割るという豪快なイメージがありますが、キャンプでの薪割りは市販のあらかじめ割られた薪を細く割ることがメインです。市販の薪は、どんなに太くても直径10cmほどですから、自分の山で薪を作るという場合でもない限り片手で扱える手斧や鉈、ナイフで十分です。では手斧、鉈、ナイフにはどのような違いがあるのでしょうか?

更新日:2023.03.15

手斧・鉈・ナイフの違いは?

重みでたたき割る手斧

手斧はハンドアックス、ハチェットとも呼ばれる小さな斧です。
小さいといっても鉈やナイフよりも刃が分厚くてずっしり。一点に力が集中する形になっており、重量を利用して木の繊維を引き裂くので鉈やナイフよりもパワフルです。

キャンプでの薪割りでは全長35〜45cmほどのものが扱いやすいでしょう。重いものほどパワフルですが、腕への負担も大きいので実際に手にしてバランスがよいと感じるものを選びましょう。

付け根から刃先まで直線的に伸びているのが和斧。刃先が薄くて付け根が太いのが洋斧(写真)です。

洋斧は薪を左右に押し分けやすい形なので、広葉樹のような硬い薪にも対応します。
くさびなどによって刃が固定されていますが、使っているうちにゆるんでいることも。使う前に刃がぐらついていないかを確認するように癖をつけておきましょう。

なお、手斧をハンマーがわりに使う人もいるようですが、ゆるみの原因になりかねないのでハンマーとして使うのはやめた方が無難です。

扱いやすい鉈

細長い刃にハンドルを取り付けた鉈は手斧より軽く、薪を小割にする、枝打ち、木工など細かな作業をしやすい刃物です。

両刃と片刃(写真)があり、両刃は小割や枝打ち、片刃は削ったり切ったりする作業が得意。
手斧ほどではありませんが硬めの薪を割るなら両刃が安心です。

刃渡りは15〜20cm前後、重量500g程度のものが扱いやすいとされています。斧同様、重すぎると大変ですが、グリップの形や長さによっては重さを感じにくいものもあります。鉈も購入の際は実際に手にしてそのバランスを確かめましょう。

片刃は無理をすると刃こぼれの危険がありますが、針葉樹のような繊維が素直な薪であれば十分割れますし、木工やフェザースティックを作るなど万能に使えるという点がメリット。キャンプ利用なら、大抵のことは片刃で十分です。
どのように使うかを考えて選ぶと後悔しません。
ちなみに片刃の場合は、利き手にあった刃を選ぶことも肝心です。

細い針葉樹ならナイフでも

鉈や斧ほどではありませんが、厚み(3mm以上、できれば5mmほど)のあるフルタングナイフであればバトニングができます。

フルタング(上の写真上段のナイフ)とはブレードがハンドルの端まで通ったナイフ。写真上のナイフは刃の厚みが5.5mmで、刃の断面の形(グラインド)を確認しても比較的厚みがあるため、たたいたりこじったりといった力のかかる作業も無理をしなければ可能です。

上の写真のもう1本のナイフは刃先こそ薄いものの、ハンドルに近い元の部分は2.5mmなので細めの針葉樹であればなんとかバトニングもできます。
もちろんフェザースティックや木工は得意。

ちなみにバトニングでは刃の上を別の木でたたくので、刃長10cm以上が必要で、対応する薪は刃の3分の2程度までだと覚えておきましょう。

使わないときはケースに入れる

刃物を使わないときはケースに入れておくのが鉄則です。ファミリーの場合、子どもと「勝手に刃物を触らない、使っている人のそばでふざけない・走らない」ということを約束させます。

また、薪割りのときは厚手コットンのエプロンやデニムのパンツなど厚手の衣類で肌を守ります。軍手は肌を守りますが、力を入れたときに滑りやすいのでグリップを持つ手は素手。革グローブや滑り止めが付いたグローブなら両手にはめて作業しても大丈夫です。

薪割りのコツ

木の繊維をよく見て割る!

どの刃物を使う場合も同じで、木の繊維をよく見て刃を当てます。針葉樹の薪でも途中に節があると割れにくいので、特にナイフでのバトニングでは注意しましょう。

斧は重さで割るイメージで、刃を下に落とします。片手でも扱えますが、重く感じるならもう片方の手を添えて支えてもいいでしょう。

立って振り下ろすときは足に当たらないよう台を使うといいのですが、キャンプにいちいち台を持っていけません。膝をついた状態で斧を下ろすことで足を傷つける事故を低減できます。

鉈では写真のように半分までしか割れなかった薪も、斧なら気持ちよく割れました。
ちなみに細い薪でうまく立たせられない場合は、薪に斧の刃を添えた状態で木の台にたたきつけるという方法もあります。

鉈の場合は繊維に刃を少し食い込ませたら、薪が食い込んだ状態で鉈を平らな板などに打ち付けるようにします。刃先が下になると石などに当たって刃こぼれの原因になるので刃先は上に。

ナイフでのバトニングは、繊維に刃を当てたら薪の真上を別の木でたたきます。薪の真上をたたく時は少し力を込めてもいいですが、薪の途中で刃が止まっているときは刃先をたたきます。

このときはくさびを打ち込むイメージでコツコツとたたきましょう。力をこめすぎると刃こぼれの危険があるので注意。

鉈やナイフでフェザースティックを作る場合は、薪を膝や別の木などに当てて固定します。薪の角部分に刃を当て、細く長く削って細かなカールを作ります。軽い力で削ぐと薄く、力を込めてえぐると太い羽根になります。焚き火をする際に、必ずしもフェザースティックは必要ありませんがナイフの練習を兼ねられますよ。

重い鉈や斧のメンテナンスは?

鉈や斧は刃が大きくて重く、大きな砥石に刃を当てるのは大変です。

スティックタイプやディスク状の砥石を手に持ち、刃に当てて研ぎましょう。薪割りでは刃を薄くしすぎると折れやすくなります。購入時の角度を踏襲し、表も裏も同じように研ぎます。刃が中心にないと刃が折れる原因になるので片側を仕上げたら、もう片側も同じくらいになるよう調整しながら研ぎます。

なお、フェザースティックをしたい、木工にも使いたいと薄くする場合もあるでしょうがほどほどに。

砥石によってホーニングオイルを垂らして目詰まりを防ぐもの、摩擦熱を防ぐために水に漬け込むもの、水をたらすだけでいいものがあります。お手持ちの砥石の使い方を調べておきましょう。

鉈も手斧もナイフも特性を知ることで焚き火がスムーズに進行します。刃物は危険だと敬遠されがちですが、正しく使えば一生のパートナーになってくれますよ。

ナイフのメンテナンスはこちらをチェック!
自宅でできる簡単メンテナンスのすすめ

※このコンテンツは、2023年03月の情報をもとに作成しております。