更新日:2024.12.25

キャンプ道具で備える!
防災に役立つ
車載BOXのつくりかた

こんにちは、こいしゆうかです。

最近、キャンプをしていて予報にない大雨が降ってくることがあったりして、自然災害って怖いなって改めて思う機会が増えてきました。万が一のことが起こった時、キャンプ道具が役立つという話はよく耳にするし、たしかに普段使っているランタンやバーナー、寝袋などは使えそうなイメージはできますよね。

でも、役立つということはわかっていても、実際にキャンプ道具をいざという時にすぐに持ち出せるように準備している、という人はあまり多くはないのでは? かくいう私もそのひとり。キャンプ道具の多くは倉庫や自宅の収納棚にしまっていて、とても緊急時にすぐに持ち出せる状況ではありません。道具の種類は揃っているのに、お恥ずかしながら「宝の持ち腐れ」状態なんです。

そこで今回は、防災とアウトドアのプロをお招きして、いざという時に必要な道具が何なのかを教えてもらいながら手持ちのキャンプ道具を選抜。もしもが起きた時にもすぐに対応できる「いざという時の道具セット」を作ってみたいと思います。さらに、避難時に役立つアウトドアテクニックなどもご紹介します!
今回教えてくれたのは

防災×アウトドアのプロ
寒川 一さん

アウトドア視点を取り入れた防災を提唱。災害時に役立つキャンプ道具やアウトドアのテクニックを、学校や自治体向けのイベントなどで幅広く伝えている。

防災の視点を取り入れた
道具選びのポイントは?

早速ですが、寒川さん。
手持ちのキャンプ道具のなかから、防災に役立つ道具を仕分けて「いざという時の道具セット」を作りたいです!
それはいい心がけだね。防災は日頃の意識が大事だからね。
では、持ってきた道具を見せてくれる?
はい、こちらです!
今回は私が持っている道具をたくさん持ってきました。仕事柄、たくさんのキャンプ道具を持っていて、倉庫と自宅の収納棚で保管しています。
さすが、こいしさん。たくさん道具を持っているね。じゃあ、早速やってみよっか。
いざという時に役立ちそうな道具を仕分けして、このケースに入れてみて。
えっ? これに入る分だけ?
そう。実は、僕は普段から「いざという時のための道具」をケースに入れて、クルマに積みっぱなしにしているんだ。常にクルマに積んでおけば、移動中でも対応できるし、いざという時にもすぐに持ち出せるでしょ。
それに、今やいつ何が起こるかわからないから、備えは分散しておくのがいいというのが僕の考え方なんだ。
たしかに! 道具って毎回クルマから降ろすのが当たり前のようになっていますけど、もしものことを考えると積んでおいたままでいいのかもしれないですし、万が一のことが自宅にいるときに起こるとも限らないですもんね。
もしかしたらクルマで通勤中かもしれないしね。
クルマに積みっぱなしなら、アウトドアで使うときもこのケースの中から使うものを持ち出せばいいだけだからね。それにこのケースは、天板がフラットだからテーブル代わりにもなるし、頑丈だからチェアとしても使えるんだ。

※写真のトランクケースは耐荷重100kg。ケースをチェアとして使用する場合は、使用するケースの耐荷重をご確認ください。

なるほど! わたしも同じようにクルマに積みっぱなしにしておける道具セットを作りたいと思います!
よし、では仕分けしてみて。
はい! では、この中から選んでいきます!

まずはランタン。これは絶対に必要!

マットもあった方がいいですよね。寝心地を大きく左右しますし。

状況によっては焚き火ができるとは限らないだろうから、焚き火台は必要ないだろうなー。

お湯沸かしたりするのに調理器具も必要だよね、やっぱり。

まずはランタン。これは絶対に必要!

まずはランタン。これは絶対に必要!

マットもあった方がいいですよね。寝心地を大きく左右しますし。

マットもあった方がいいですよね。寝心地を大きく左右しますし。

状況によっては焚き火ができるとは限らないだろうから、焚き火台は必要ないだろうなー。

状況によっては焚き火ができるとは限らないだろうから、焚き火台は必要ないだろうなー。

お湯沸かしたりするのに調理器具も必要だよね、やっぱり。

お湯沸かしたりするのに調理器具も必要だよね、やっぱり。

そろそろできたかな?
はい、できました!
こいしが選抜した道具
①ヘッドライト ②LEDランタン ③ナイフ ④クッカー ⑤シェラカップ ⑥手拭い ⑦カトラリー ⑧シングルバーナー ⑨カセットガス ⑩ボトル ⑪マット ⑫寝袋
かさばるというのもあるのですが、クルマで避難して車中泊することを想定して、テントは入れませんでした。
車中泊は、いい視点だね。クルマはいざという時にはとても頼りになるからね。
僕も海外でキャンプをしながら旅をしている時に、熊が出没したり、嵐に遭遇してしまってクルマに避難したことがあるんだ。キャンプには慣れているけど、やはりそういった状況下ではテントよりもクルマの中の方が格段に安心感があって、気持ちが楽になった経験があるよ。
私も嵐の中のテント泊経験はあって、とても怖かったです。
それに、クルマはバッテリー次第ではあるけれど、ガソリンさえ入っていれば冷暖房も使えるし、スマホやLEDランタンの充電も、ラジオで情報収集もできるからね。
災害時の車中泊の注意事項等はこちら
災害時、もしもの知識が、私たちを救う。
今回、防災の視点で道具を選んでみて、とくに寝具類やランタン系はやっぱりキャンプ道具が活用できるなっていうのはすぐに感じました。
うん、さすがだね。最低限必要なものがしっかりと選ばれている。
非常時でも「衣・食・住」を揃えるのが基本。住環境は車中泊を想定しているとして、寝袋やマット、ランタン類は住環境を整えるものだよね。バーナーやクッカーは食を整えるものだね。
少しだけ手直し、解説していこうか。

寝袋はコンパクトに収納できる
ダウンがおすすめ!

こいしさんが選んだとおり、寝袋の素材はやはりコンパクトに収納できるダウンが持ち運びのことを考えるとおすすめ。普段からキャンプで使い慣れている自分の寝具があるだけで、心の安定につながるよ。
マットも同様にコンパクトなものがおすすめだけど、やはりこちらも普段から使い慣れていて自分にあったものを選ぶのがいいでしょう。
なるほどー。確かに、心が不安になっている状況下で、使い慣れた寝具で寝られるのは落ち着けるかも。
コンパクトに収納できる道具の方がいいっていうのは予想通り!

カセットガスは
クルマに積みっぱなしNG!
熱源は固形燃料で代用を

バーナーは、使用頻度の高いカセットガスのバーナーを選びました!
バーナーは「食」を補完するものだね。季節にもよるけど、もし寒い時期に災害が起こった場合、体が冷えてしまうよね。そんなときに自分でお湯を沸かして、温かいお茶を飲んだり、ドライフードなどを食べられることはとても大事なんだ。
使いやすさを考えてカセットガスのバーナーを選んだみたいだけど、残念ながらカセットガスをクルマに積みっぱなしにするのは危険なためNGだよ。
あっ、そっか!? でもそうなると、もし移動中に避難が必要になった場合はバーナーが使えない?
移動中の備えとしてケースに入れておくなら、アウトドア用の固形燃料がおすすめ。実は固形燃料を使ったアイテムの中には、災害時にも使用を想定されているアイテムもあるんだよ。
固形燃料に着火するための道具として、マッチもケースに入れおくのを忘れずにね。アウトドア用のマッチは、防水防風のマッチがあるからおすすめ。
固形燃料! 盲点でした……昔、使ってたのに。
とはいえ、バーナーは屋外での熱源として非常に役に立つから、バッグなどに入れておき、いつでもすぐに持ち出せるように準備しておくといいよ。

ランタンにも盲点が!
灯りはクルマの室内灯で
まかなうのも手

ランタン類は、充電式のヘッドライトと、ソーラー充電できるランタンを選びました。電池式とも迷いましたが、充電できたほうが何かと便利かなっと思いまして。
灯りはとっても大事。だけど注意してほしいのは、リチウムイオンやリチウムポリマーの類のアイテムは、クルマの中に常に保管しておくことは推奨できない
高温で自然発火のおそれがあるからね。昨今の真夏の暑さを考えると、積みっぱなしにすることが危ないというのは想像に難くないよね。
そっかー。LEDランタンとか、充電式のもののほとんどはリチウムバッテリーですもんね。
灯りはクルマの室内灯を使うのもいいし、
クルマのキーにミニマムライトをつけておいて、常に携帯しておくのもいいね。
クルマのキーにつけておくと失くしてしまう心配がなくていいですね! 私、こういったライトを持っていたのですが、失くしてしまうことが多くって……。
加えて、車内では使えないけど、アウトドア用のキャンドルランタンもケースに入れておいてもいいかもね。マッチで火をつけられるし。
キャンドルはいいですね。やっぱりゆらめく炎をみると心が落ち着く気がします。
バッテリーや燃料のほか、ナイフもクルマに積みっぱなしにすることはできないから、ケースには入れず、カセットガスなどと一緒に持ち出し用の防災バッグに保管しよう。
最初に話した「分散」の考え方でもあるんだけど、ケースと防災バッグの両方を準備しておくことで、より柔軟な備えができるね。
クルマに積みっぱなしにできない主な道具
爆発の恐れがあるもの
・カセットガスなどの燃料類
・リチウムバッテリー
(バッテリー内臓型の道具を含む)
・乾電池
違法(銃刀法や軽犯罪法違反)になる
恐れがあるもの
・ナイフなどの刃物類
防災用に仕分けたキャンプ道具
車載BOXの中身
(常時クルマに積んでおく道具)
①マット ②寝袋 ③クッカー ④カトラリー ⑤固形燃料 ⑥シェラカップ ⑦キャンドルランタン ⑧マッチ ⑨ボトル ⑩手拭い
防災バッグの中身
(いつでも持ち出せるようにわけておく道具)
A.ヘッドライト B.LEDランタン C.シングルバーナー D.カセットガス E.ナイフ
ケースの中身はこんな感じになりました!
バーナーとカセットガス、ナイフ、リチウムバッテリー系のランタンは、ひとまとめにして防災バッグに入れておきます。
これで寝床と灯り、そして調理器具が確保できたことになるね。
ケースに入れておけば車内でバラバラになることもないですね。
荷室の下段に入れておくことで、普段からここに置いておいても日常使いに支障をきたさないですね。

※今回の撮影に使用したクルマはFREED e:HEV CROSSTAR(2列シート車/FF)。荷室用ユーティリティーボードは、CROSSTAR 2列シート車専用装備。

へえー、荷室を上下で分けて使えるのか。
上段で車中泊もできるし、これは便利だね。
道具セットも完成したし、早速これを使って車中泊キャンプをしましょう!
ちょっと待って。今回持ってきてくれた道具の中にはなかったんだけど、防災用としてぜひ用意しておきたい道具があるから紹介するね。
撮影協力:有野実苑オートキャンプ場 https://arinomi.co.jp/
今回使用したクルマ:フリード

  • ※このコンテンツは、2024年12月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。