History

1946年、無線機用の小型エンジンが人々の暮らしに役立つ道具に変わった。
困っている人を見たら放っておけない。
人を少しでも楽にする。
常に人間中心に、技術で人々の生活に役立ちたい。
こうして、数々のHondaパワープロダクツが生まれていった――。

1990 – 2010年代

 1990年代に入ると、世界規模で環境問題に注目が集まった。Hondaは世界最高水準の低排出ガスを実現するための汎用エンジンの環境技術訴求マーク「e-SPEC」を独自に打ち出した。「豊かな自然を次の世代に」という意志の元、汎用ガソリンエンジンにおける世界最高水準のクリーン性能を実現した製品の証として、世界で最も厳しい排出ガス規制である米国環境保護庁(EPA)の最終規制値をクリアしたすべての汎用エンジンならびにパワープロダクツに表示(当時)した。

 1997年、世界初の360度自在傾斜を実現した超小型4ストロークエンジン「GX22/31型」の販売を開始する。あらゆる角度で動き続ける4ストロークエンジンは、それまで構造上不可能と言われていた。しかし「GX22/31型」エンジンは、刈払機(草刈機)や動力噴霧器などの手持ち(ハンドヘルド)作業機の動力源として、静かでクリーンな4ストローク化を実現した。

GX22

 「GX22/31型」エンジンは、2002年にOHC(Over Head Camshaft)を採用した「GX25型」エンジンへ進化。360度自在傾斜を継承しながら、わずか2.78kgという世界最軽量の4ストロークエンジンとして販売を開始した。

GX25

 OEM供給エンジンの業界標準となったOHVの「GX型」エンジンも、環境性能への対応が求められ1997年、「GC/GCVシリーズ」エンジンへと進化した。世界初の内蔵型タイミングベルトOHCやユニブロックシリンダーなどの独自で開発した技術の採用により、優れた燃費特性を持った高性能なエンジンを、OEM供給や一般向けに低価格で提供することを可能とした。

iGX440

 2005年には、OEM供給向けに高出力で高機能の「iGXシリーズ」エンジンの販売を開始。世界初の回転数電子制御技術である「STRガバナ」の採用により知能化を図った「iGXシリーズ」エンジンは、汎用エンジンの可能性を拡げる次世代向けのエンジンとなった。

 これらの「GX・GC・iGXシリーズ」エンジンは、世界でもっとも厳しいと言われた環境規制の米国環境保護庁(Environmental Protection Agency 以下EPA)Phase2規制と、カリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board 以下CARB)TierII規制値をクリア。Hondaの高い技術力は、世界を驚かせた。

 また、ポータブル発電機も、電化製品の精密化やデジタル化に合わせ「きれいな波形の電気」供給が要求され始めた。

 そこでHondaは1998年に、新世代発電機「GENE21」シリーズの販売を開始。世界初のマイコン制御式正弦派インバーターを搭載することにより、一般家庭で使用されているような質の高い電気の供給を可能とした。併せてエコスロットル機構など最新技術により、高出力と低燃費という相反する課題を解決し、従来機に対して重量の半減と低騒音を実現。新世代の発電機として好評を得ることになった。

ピアンタFV200

 また、2009年にHondaはガソリンと比較して購入・使用・保管が容易なカセットガスに注目し、小型耕うん機「ピアンタFV200」の発売を開始。2010年にはガスパワー発電機「エネポ EU9iGB」の販売も開始した

「ピアンタFV200」は、家庭菜園用の入門機で、購入者の9割が初めて耕うん機に触った人たちであり、これまでになかった市場を開拓した。

「エネポ EU9iGB」もハイスペックながらも、カセットガスが支持されて一般家庭に拡大した発電機だった。

スノーラ i HS1390i

 Hondaは電動化にも着手。2001年に販売を開始した「スノーラ i HS1390i」は世界初のハイブリッド除雪機であり、除雪作業はガソリンエンジンで、走行をモーターで行うハイブリッド方式を採用。除雪時の速度自動制御を可能として、初心者による容易な除雪作業を可能とし、少子高齢化が進む降雪地域の大きな労働力となった。また、2014年には操作の簡単な電動式ブレード型除雪機「ユキオスe」も販売を開始、狭い路地や商店街などの除雪作業の機械化に貢献した。

リベイド(LiB-AID)E500

 2017年9月、充電した電気を持ち運ぶという新たなコンセプトで開発された蓄電機「リベイド(LiB-AID)E500」の販売を日本で開始。高品質な電気を供給する独自の正弦波インバーターを搭載し、車内など使用環境を選ばないポータブル電源として注目されている。

ミーモ

 芝刈機においても2012年に、ロボット芝刈機「ミーモ」の販売を欧州で開始。芝の高さを設定するだけで芝を刈り、自身で充電する全自動の芝刈機。防水性と静粛性を兼ね添え、緊急停止などの安全機能も備え、毎日安心して芝刈りを任せることを可能とした。「ミーモ」は電動+コンピュータ制御という、未来に向けたHondaパワープロダクツの第一歩と言える。

 終戦直後の、何もない時代に生み出された自転車用補助エンジン。そして「H型」エンジンに始まるHondaパワープロダクツ。今よりも少しでも使いやすく、少しでも高性能な製品を送りだすために、絶え間なく技術とアイディアを投入し進化を続けた。

 その結果、Hondaに対する世界の評価は高性能で、扱いやすく壊れないが当たり前になっている。

 さらに根底に流れ続けるのは、「技術で人を幸せに」という思いに他ならない。創業時から変わることのないこの思いを込め、Hondaのパワープロダクツはさらなる可能性を追求し続ける。